魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
式の間もずっと黙っていたティアラは、リロイやラスに言葉をかけようにも言葉を失ってしまっていた。
今この瞬間、夫になったのは…真の勇者だ。
そして2年間ずっとずっと、憧れ続けて想い続けてきた男。
顔も見たことのない婚約者と結婚して綺麗さっぱり別れようと決めていたくせにそれはうわべだけで、きっと…物欲しげな目で見ていたはずだ。
それなのに――
「ティアラ、行きましょう」
「リロイ…私はもう王女ではなくなったし、あ、あなたの妻です。敬語はもうやめて下さい」
「それを言うならあなたも敬語をやめて下さい。いいですね?外に出たらもう敬語は無しですからね」
リロイに抱っこされて大聖堂を出ると、突然花弁のシャワーが降り注いだ。
30歩程先には馬車が止まってあり、人々が道沿いに整列してリロイたちを待ち受けていたのだが…その列の中にコハクとラスとフィリアの姿を見つけると、ラスの笑顔が炸裂した。
手には赤や白やピンクなどの花弁が詰まった籠を持ち、一掴みして頭上に投げてくれるラスの姿に胸が詰まったティアラの心情をくみ取ったリロイが、人々に感謝の笑顔を投げかけながらラスの前で立ち止まる。
「ラス…素敵…!ありがとう、私本当に幸せ…!」
「うん、ティアラすっごく綺麗!でもね、私とコーも負けない位とっても素敵な結婚式を挙げる予定だから、負けないんだからっ」
ぱちんとウィンクしてコハクの腕に抱き着いた無邪気なラスに笑い声が弾けて、そしてフィリアが手を伸ばしてティアラの頬を撫でた。
「幸せにね。ここは少し遠いからあまり会えなくなるけれど…でもあなたが幸せになることを疑っていないわ。リロイ…私の娘をよろしくお願いします」
「女王陛下…はい、お任せ下さい。僕が惑わせてしまった2年間の分までしっかりティアラを幸せにします」
そしてリロイがカイに顔を向けると、顔が微笑みながら両腕を広げた。
…時に父のように接してくれて、幼い頃から優しくしてくれた偉大なる勇者と固いハグを交わしたリロイは、少し涙ぐみながら身体を起こし、ティアラの腕を取った。
「行きましょう…じゃなかった…。ティアラ、行こう。あの城が僕たちが住む場所で、彼らを導いてゆく場所だ」
「ええ、私…頑張るわ。あなたと一緒に」
――そしてクリスタルパレス王国が興り、新たな国が生まれた。
今この瞬間、夫になったのは…真の勇者だ。
そして2年間ずっとずっと、憧れ続けて想い続けてきた男。
顔も見たことのない婚約者と結婚して綺麗さっぱり別れようと決めていたくせにそれはうわべだけで、きっと…物欲しげな目で見ていたはずだ。
それなのに――
「ティアラ、行きましょう」
「リロイ…私はもう王女ではなくなったし、あ、あなたの妻です。敬語はもうやめて下さい」
「それを言うならあなたも敬語をやめて下さい。いいですね?外に出たらもう敬語は無しですからね」
リロイに抱っこされて大聖堂を出ると、突然花弁のシャワーが降り注いだ。
30歩程先には馬車が止まってあり、人々が道沿いに整列してリロイたちを待ち受けていたのだが…その列の中にコハクとラスとフィリアの姿を見つけると、ラスの笑顔が炸裂した。
手には赤や白やピンクなどの花弁が詰まった籠を持ち、一掴みして頭上に投げてくれるラスの姿に胸が詰まったティアラの心情をくみ取ったリロイが、人々に感謝の笑顔を投げかけながらラスの前で立ち止まる。
「ラス…素敵…!ありがとう、私本当に幸せ…!」
「うん、ティアラすっごく綺麗!でもね、私とコーも負けない位とっても素敵な結婚式を挙げる予定だから、負けないんだからっ」
ぱちんとウィンクしてコハクの腕に抱き着いた無邪気なラスに笑い声が弾けて、そしてフィリアが手を伸ばしてティアラの頬を撫でた。
「幸せにね。ここは少し遠いからあまり会えなくなるけれど…でもあなたが幸せになることを疑っていないわ。リロイ…私の娘をよろしくお願いします」
「女王陛下…はい、お任せ下さい。僕が惑わせてしまった2年間の分までしっかりティアラを幸せにします」
そしてリロイがカイに顔を向けると、顔が微笑みながら両腕を広げた。
…時に父のように接してくれて、幼い頃から優しくしてくれた偉大なる勇者と固いハグを交わしたリロイは、少し涙ぐみながら身体を起こし、ティアラの腕を取った。
「行きましょう…じゃなかった…。ティアラ、行こう。あの城が僕たちが住む場所で、彼らを導いてゆく場所だ」
「ええ、私…頑張るわ。あなたと一緒に」
――そしてクリスタルパレス王国が興り、新たな国が生まれた。