魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ぽこん…ぽこん……
お風呂に入ってゆっくり身体を伸ばしてリラックスしていると、胎内でベビーが活発に動いているのがわかってくすぐったくなったラスがくすくす笑った。
濡れたタイルでラスが転ばないようにと、ラスが風呂に入る時は絶対に同行するか一緒に入るコハクがラスを背中から抱きしめながら、ラスの腹に手をあてる。
そうすると、ぽこんという感触が掌に伝わり、コハクは濡れた少し長い前髪をかき上げながら笑った。
「“もう出たい”って主張してんのかもな。でもまだ2か月は先だ。ベビー、まだだぞ」
「ベビー、パパの言うことをちゃんと聴いてね。コー、明日リロイとティアラの結婚式を見届けたら、私ずっとお部屋に居るね。最近腰が痛くってあんまり動きたくないの」
「すげえつらいのなら俺が魔法で痛くならないようにしてやろうか?」
「ううん、妊婦さんはみんな同じ痛みを感じてるから頑張る。…コー、すっきりした顔してるね。悩みは吹っ切れた?」
身を捩ってキスをしてきたラスに応えながら笑ったコハクは、ラスにだけ正直な気持ちを打ち明けた。
「んー、全部ってわけじゃねえけど…今まで“もし失敗したら”とか考えたことなかったからさ。だから余計に動揺したのかも。…お師匠は、俺が探してる方法はわからねえって言ってたし…」
「お師匠さん…急に出て行っちゃったね。もしかして私…何か悪いことした?」
――ローズマリーが自分に想いを寄せていたことを最近知ったコハクは、ラスが沈んだ表情をしたのでその事実を隠し、長い金の髪を結い上げて露わになったラスのうなじにキスをして真向かいに座らせた。
「チビは何もしてねえよ。…お師匠のことはオーディンがきっと幸せにしてくれるって。あいつらが戻って来たら、クリスタルパレスに住んで小僧たちに協力してやってほしいんだけどな。…あいつらが生きてるうちに戻って来るかな」
「魔法で探すことはできないの?ベビーが生まれたら抱っこしてほしいのに」
「…ま、探して教えることはできるけど、戻って来るかどうかはあいつら次第だし。…こらチビ、お前はベビーと俺のことだけ考えてればいいの!明日も早いんだし、風呂上がったらすぐ寝るぞ。さあ寝るぞ!」
湯上りのラスの身体を丁寧にバスタオルで拭いて少し厚めの長袖のネグリジェを着せると、身体が冷えないうちにベッドに潜り込む。
ラスの隣でしか熟睡できないコハクはベビーの鼓動を掌に感じながら、瞳を閉じた。
お風呂に入ってゆっくり身体を伸ばしてリラックスしていると、胎内でベビーが活発に動いているのがわかってくすぐったくなったラスがくすくす笑った。
濡れたタイルでラスが転ばないようにと、ラスが風呂に入る時は絶対に同行するか一緒に入るコハクがラスを背中から抱きしめながら、ラスの腹に手をあてる。
そうすると、ぽこんという感触が掌に伝わり、コハクは濡れた少し長い前髪をかき上げながら笑った。
「“もう出たい”って主張してんのかもな。でもまだ2か月は先だ。ベビー、まだだぞ」
「ベビー、パパの言うことをちゃんと聴いてね。コー、明日リロイとティアラの結婚式を見届けたら、私ずっとお部屋に居るね。最近腰が痛くってあんまり動きたくないの」
「すげえつらいのなら俺が魔法で痛くならないようにしてやろうか?」
「ううん、妊婦さんはみんな同じ痛みを感じてるから頑張る。…コー、すっきりした顔してるね。悩みは吹っ切れた?」
身を捩ってキスをしてきたラスに応えながら笑ったコハクは、ラスにだけ正直な気持ちを打ち明けた。
「んー、全部ってわけじゃねえけど…今まで“もし失敗したら”とか考えたことなかったからさ。だから余計に動揺したのかも。…お師匠は、俺が探してる方法はわからねえって言ってたし…」
「お師匠さん…急に出て行っちゃったね。もしかして私…何か悪いことした?」
――ローズマリーが自分に想いを寄せていたことを最近知ったコハクは、ラスが沈んだ表情をしたのでその事実を隠し、長い金の髪を結い上げて露わになったラスのうなじにキスをして真向かいに座らせた。
「チビは何もしてねえよ。…お師匠のことはオーディンがきっと幸せにしてくれるって。あいつらが戻って来たら、クリスタルパレスに住んで小僧たちに協力してやってほしいんだけどな。…あいつらが生きてるうちに戻って来るかな」
「魔法で探すことはできないの?ベビーが生まれたら抱っこしてほしいのに」
「…ま、探して教えることはできるけど、戻って来るかどうかはあいつら次第だし。…こらチビ、お前はベビーと俺のことだけ考えてればいいの!明日も早いんだし、風呂上がったらすぐ寝るぞ。さあ寝るぞ!」
湯上りのラスの身体を丁寧にバスタオルで拭いて少し厚めの長袖のネグリジェを着せると、身体が冷えないうちにベッドに潜り込む。
ラスの隣でしか熟睡できないコハクはベビーの鼓動を掌に感じながら、瞳を閉じた。