魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
式の準備があるために先にリロイとティアラを馬車に乗せて出発させたコハクたちは、ドラちゃんに乗って母国ゴールドストーン王国へと向かった。
だがそこで目にした光景は、ラスの大きな瞳をさらにまん丸にさせることになる。
「ねえコー…結婚するのって…リロイとティアラだよね?」
「あー、まあそうだな。でも…違ったか?」
コハクがそう言ってしまうほどの光景――彼らの眼下にはカイたちの住む城の周りをぐるりと囲む首都ゴールドリバーのあちこちで上がる祝砲や花火…
確かにリロイは白騎士団の隊長で、ティアラは友好国の王女だったが…それにしても盛り上がり方が尋常ではない。
それにゴールドリバーに住む人々は、リロイとラスが結婚するものだと信じ切っていたので、こうしてもろ手を挙げて喜ぶ姿は想像していなかったのだが――
1度街の上空を旋回して庭に降り立ったドラちゃんの背から降りたラスを出迎えたカイは、驚いた顔をしているラスを抱っこすると、コハクが怒ると承知の上でラスの頬にちゅっとキスをした。
「お父様…今日はお祭りなの?それともリロイたちの結婚を祝ってくれてるの?」
「違うよ、みんなは君の結婚を祝ってくれているんだよ」
「え…?」
コハクもラスも寝耳の水の状態で顔を見合わせていると、カイは笑い声を上げて城内へ引き返しながら、肩を竦めた。
「君が結婚することは城に勤めている者はほとんど知っていたんだけど、口外しないようにしていたんだ。魔王が私のプリンセスを本当に幸せにできるのか…ずっと疑問だったからね」
「はあ?ふっざけんなよカイ!俺以外誰がチビを幸せにできるっつーんだよ!」
「コー怒らないで。じゃあお父様…触れを出したの?私とコーが結婚するって発表してくれたの!?」
「魔王の正体は明かしていないけど、君が結婚することはみんな知っているよ。そして今日帰って来ることも、リロイたちの結婚式に参加することも知っているから、これからレッドストーン王国までの道のりは長い行列ができるかもね」
コハクがかつて世界を恐怖に陥れた“魔王”であることを明かしてしまえば、きっと大混乱に落ちる――
彼らに実際実害があったわけではないが、それでも姿もわからない謎の男が世界征服を目論み、ホワイトストーン王国を崩壊させた事実はまだ記憶に新しいのだ。
それでもラスは喜び、カイの首に抱き着いて何度も何度も感謝をした。
「お父様ありがとう!後でバルコニーに出てみんなに手を振ってもいい?」
「いいとも。魔王、お前も一緒に」
「ちっ、俺に指図すんなよ。…わかったって、やればいいんだろ」
舌打ちしながらも、国民が結婚を喜んでくれたことにさすがのコハクも頬を緩めた。
だがそこで目にした光景は、ラスの大きな瞳をさらにまん丸にさせることになる。
「ねえコー…結婚するのって…リロイとティアラだよね?」
「あー、まあそうだな。でも…違ったか?」
コハクがそう言ってしまうほどの光景――彼らの眼下にはカイたちの住む城の周りをぐるりと囲む首都ゴールドリバーのあちこちで上がる祝砲や花火…
確かにリロイは白騎士団の隊長で、ティアラは友好国の王女だったが…それにしても盛り上がり方が尋常ではない。
それにゴールドリバーに住む人々は、リロイとラスが結婚するものだと信じ切っていたので、こうしてもろ手を挙げて喜ぶ姿は想像していなかったのだが――
1度街の上空を旋回して庭に降り立ったドラちゃんの背から降りたラスを出迎えたカイは、驚いた顔をしているラスを抱っこすると、コハクが怒ると承知の上でラスの頬にちゅっとキスをした。
「お父様…今日はお祭りなの?それともリロイたちの結婚を祝ってくれてるの?」
「違うよ、みんなは君の結婚を祝ってくれているんだよ」
「え…?」
コハクもラスも寝耳の水の状態で顔を見合わせていると、カイは笑い声を上げて城内へ引き返しながら、肩を竦めた。
「君が結婚することは城に勤めている者はほとんど知っていたんだけど、口外しないようにしていたんだ。魔王が私のプリンセスを本当に幸せにできるのか…ずっと疑問だったからね」
「はあ?ふっざけんなよカイ!俺以外誰がチビを幸せにできるっつーんだよ!」
「コー怒らないで。じゃあお父様…触れを出したの?私とコーが結婚するって発表してくれたの!?」
「魔王の正体は明かしていないけど、君が結婚することはみんな知っているよ。そして今日帰って来ることも、リロイたちの結婚式に参加することも知っているから、これからレッドストーン王国までの道のりは長い行列ができるかもね」
コハクがかつて世界を恐怖に陥れた“魔王”であることを明かしてしまえば、きっと大混乱に落ちる――
彼らに実際実害があったわけではないが、それでも姿もわからない謎の男が世界征服を目論み、ホワイトストーン王国を崩壊させた事実はまだ記憶に新しいのだ。
それでもラスは喜び、カイの首に抱き着いて何度も何度も感謝をした。
「お父様ありがとう!後でバルコニーに出てみんなに手を振ってもいい?」
「いいとも。魔王、お前も一緒に」
「ちっ、俺に指図すんなよ。…わかったって、やればいいんだろ」
舌打ちしながらも、国民が結婚を喜んでくれたことにさすがのコハクも頬を緩めた。