魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「パーパ?」
精一杯の力でドアを押して現れたのは、金色の髪に緑の瞳といったラスの要素を全て受け継いだ小さな小さな女の子だった。
ちょこちょこと駆けては固まってしまっている兄たちを見上げて笑顔を向けながら、コハクの脚と脚の間に挟まってラスそっくりのにこにこ笑顔で首を傾げた。
「パーパ、お膝、抱っこ!」
「え、エンジェルちゃん!!おいで、パパが抱っこしてやる!」
代りにラスが膝から降りると、ラスを取り戻した小さな勇者たちが早速群がり、コハクがエンジェルと呼ぶ待望の娘を抱っこすると、コハクに抱き着いた。
「生きてて良かった!ようやくチビそっくりの女の子に恵まれて幸せーっ!」
「パーパ、お兄ちゃんたちと、喧嘩?」
「へっ?い、いや、喧嘩なんかしてないからな、うるうるしない!ああ食べてしまいたい!」
諍いを起こしていることを察していたエンジェルがうるうるした瞳で見上げてきたので、慌てたコハクと小さな勇者たちは慌ててそれを否定して首を振りまくる。
「し、してない!ほらこっちにおいで、お兄ちゃんたちが遊んであげるよ!」
ラスと可愛い妹を魔王に独占されたくない小さな勇者たちが手を伸ばして誘ったが、エンジェルは膝から降りると、何故かひとりでドアに向かった。
「こら、どこに行くんだ?パパがついて……」
「真っ黒いとこー」
「真っ黒いとこ!?え、エンジェル…まさかまたデスのとこに…」
にこっと笑って駆けて居なくなったエンジェルは生まれた時から何故かデスにご執心で、気が付けばいつもデスと一緒に居る。
小さな勇者たちも後を追って行ったのでとりあえず2人きりになるのは回避されたが…コハクの唇は尖りまくっていた。
「ま、まさか将来はデスと…」
「うん、それもいいよね。あのね、もうチューしたって言ってたよ。この前こっそり教えてくれたの」
「はあ!?俺は許しません!キスしたとかふざけんな!あの死神懲らしめてきてやる!」
「もお、コーったら」
もちろんラスを置いて行くわけもなく、またラスを抱っこし直したコハクは、足早に部屋を出て中庭で遊んでいたデスとエンジェル、そして小さな勇者たちと、大きな口を開けて日向ぼっこしているドラちゃんを見つけて大声でエンジェルを呼び寄せた。
「エンジェル、パパが遊んであげるからこっちにおいで!」
「やーだ、黒いのと、遊ぶのー」
「デスこの野郎、エンジェルに手を出したらぶっ殺すからな!」
「……」
「おい否定しろ!マジでお前粉々にしてや…」
「コー、疲れちゃった。部屋に戻りたいな」
「…ああああ、くそっ!おいチビ勇者共、しっかり見張ってろよ!」
「了解!」
――ようやく恵まれた家族と笑い声の絶えない日々――
コハクの望みは叶い、またラスの望みも叶った。
そして、デスに抱っこされたエンジェルは、こそりとデスに囁きかけた。
「私、お嫁さんになってあげるね」
「…………うん」
…コハクの悩みは今後も尽きることはないようだ。
だが幸せな日々。
永遠に、色あせない日々。
【完】
精一杯の力でドアを押して現れたのは、金色の髪に緑の瞳といったラスの要素を全て受け継いだ小さな小さな女の子だった。
ちょこちょこと駆けては固まってしまっている兄たちを見上げて笑顔を向けながら、コハクの脚と脚の間に挟まってラスそっくりのにこにこ笑顔で首を傾げた。
「パーパ、お膝、抱っこ!」
「え、エンジェルちゃん!!おいで、パパが抱っこしてやる!」
代りにラスが膝から降りると、ラスを取り戻した小さな勇者たちが早速群がり、コハクがエンジェルと呼ぶ待望の娘を抱っこすると、コハクに抱き着いた。
「生きてて良かった!ようやくチビそっくりの女の子に恵まれて幸せーっ!」
「パーパ、お兄ちゃんたちと、喧嘩?」
「へっ?い、いや、喧嘩なんかしてないからな、うるうるしない!ああ食べてしまいたい!」
諍いを起こしていることを察していたエンジェルがうるうるした瞳で見上げてきたので、慌てたコハクと小さな勇者たちは慌ててそれを否定して首を振りまくる。
「し、してない!ほらこっちにおいで、お兄ちゃんたちが遊んであげるよ!」
ラスと可愛い妹を魔王に独占されたくない小さな勇者たちが手を伸ばして誘ったが、エンジェルは膝から降りると、何故かひとりでドアに向かった。
「こら、どこに行くんだ?パパがついて……」
「真っ黒いとこー」
「真っ黒いとこ!?え、エンジェル…まさかまたデスのとこに…」
にこっと笑って駆けて居なくなったエンジェルは生まれた時から何故かデスにご執心で、気が付けばいつもデスと一緒に居る。
小さな勇者たちも後を追って行ったのでとりあえず2人きりになるのは回避されたが…コハクの唇は尖りまくっていた。
「ま、まさか将来はデスと…」
「うん、それもいいよね。あのね、もうチューしたって言ってたよ。この前こっそり教えてくれたの」
「はあ!?俺は許しません!キスしたとかふざけんな!あの死神懲らしめてきてやる!」
「もお、コーったら」
もちろんラスを置いて行くわけもなく、またラスを抱っこし直したコハクは、足早に部屋を出て中庭で遊んでいたデスとエンジェル、そして小さな勇者たちと、大きな口を開けて日向ぼっこしているドラちゃんを見つけて大声でエンジェルを呼び寄せた。
「エンジェル、パパが遊んであげるからこっちにおいで!」
「やーだ、黒いのと、遊ぶのー」
「デスこの野郎、エンジェルに手を出したらぶっ殺すからな!」
「……」
「おい否定しろ!マジでお前粉々にしてや…」
「コー、疲れちゃった。部屋に戻りたいな」
「…ああああ、くそっ!おいチビ勇者共、しっかり見張ってろよ!」
「了解!」
――ようやく恵まれた家族と笑い声の絶えない日々――
コハクの望みは叶い、またラスの望みも叶った。
そして、デスに抱っこされたエンジェルは、こそりとデスに囁きかけた。
「私、お嫁さんになってあげるね」
「…………うん」
…コハクの悩みは今後も尽きることはないようだ。
だが幸せな日々。
永遠に、色あせない日々。
【完】