魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
小さな勇者たちからすれば、ただでさえ巨大なドラちゃんは山と同じで、しかも二本脚で立っているドラちゃんの顔は、小さな勇者たちの首が痛くなるまで見上げなければならない位置にあった。
「お兄ちゃん、ママだ!ママが!あの爪で怪我してたらどうしよう!」
「あっちにはデスが居る。エンジェルは寝てるみたいだけど…お前どっちをやる?」
「えっ?僕は…エンジェルを助ける!お兄ちゃんはママを!」
「よしわかった。危ない時は叫ぶんだぞ、すぐ助けに行くから!」
頼りない一本道を渡りきった小さな勇者たちは、地の底から響くような低い笑い声を上げたドラちゃんを睨みつけた。
デスはその傍らに立ち、相変わらず何を考えているかわからない無表情のまま、エンジェルを抱っこしている。
妹に関してはデスに懐いているのが気に食わなくて、いつしか目の敵にするようになったのだが、何せエンジェルの方からデスに会いに行ってしまうので、止めようがない。
それに…
「お前はエンジェルよりママの方が好きなんだと思ってた」
「………」
弟がそう挑発しながら首に下げられている水晶を握りしめると、デスは無防備なまま攻撃してくる雰囲気ではない。
大してドラちゃん対兄の方は、ラスが泣きそうな顔で必死に手を伸ばしてくる姿に兄の目が潤んでいた。
「ママ!もう怖くないからね、すぐ助けてあげるから!」
「怪我してないっ?ママは大丈夫だから、危ないことはしないでねっ」
『お前たちを殺した後、ベイビィちゃんに卵を生んでもらって強い子を作るのだ。きっと強くて美しい子が生まれるだろう』
「ふざけるなエロドラゴンめ!俺と1対1の勝負をしろ!ママを下ろせ!」
『ふははは、いいだろう。ベイビィちゃんは暑いだろうから結界の中に居るんだ』
ドラちゃんがラスを結界の中に戻したと同時に、兄は威勢のいい掛け声を上げて、剣でドラちゃんの尻尾を叩き切った。
尻尾がちぎれたかと思ったが…ドラちゃんの尻尾は固い鱗で覆われており、傷ひとつつけることができない。
『今のはなんだ?蚊が止まったのかと思ったぞ』
「うるさいうるさい!ママも妹も渡さないからな!」
素早く背中に駆け上がった兄は、そのまま頭の方まで駆け抜けてドラちゃんの目元まで到達すると、蜥蜴のような眼球に剣を刺し込もうとしてさすがに大暴れをされて振り落される。
『ガキが…よくも俺を怒らせたな』
ドラちゃんの口元から白い湯気が巻き起こった。
「お兄ちゃん、ママだ!ママが!あの爪で怪我してたらどうしよう!」
「あっちにはデスが居る。エンジェルは寝てるみたいだけど…お前どっちをやる?」
「えっ?僕は…エンジェルを助ける!お兄ちゃんはママを!」
「よしわかった。危ない時は叫ぶんだぞ、すぐ助けに行くから!」
頼りない一本道を渡りきった小さな勇者たちは、地の底から響くような低い笑い声を上げたドラちゃんを睨みつけた。
デスはその傍らに立ち、相変わらず何を考えているかわからない無表情のまま、エンジェルを抱っこしている。
妹に関してはデスに懐いているのが気に食わなくて、いつしか目の敵にするようになったのだが、何せエンジェルの方からデスに会いに行ってしまうので、止めようがない。
それに…
「お前はエンジェルよりママの方が好きなんだと思ってた」
「………」
弟がそう挑発しながら首に下げられている水晶を握りしめると、デスは無防備なまま攻撃してくる雰囲気ではない。
大してドラちゃん対兄の方は、ラスが泣きそうな顔で必死に手を伸ばしてくる姿に兄の目が潤んでいた。
「ママ!もう怖くないからね、すぐ助けてあげるから!」
「怪我してないっ?ママは大丈夫だから、危ないことはしないでねっ」
『お前たちを殺した後、ベイビィちゃんに卵を生んでもらって強い子を作るのだ。きっと強くて美しい子が生まれるだろう』
「ふざけるなエロドラゴンめ!俺と1対1の勝負をしろ!ママを下ろせ!」
『ふははは、いいだろう。ベイビィちゃんは暑いだろうから結界の中に居るんだ』
ドラちゃんがラスを結界の中に戻したと同時に、兄は威勢のいい掛け声を上げて、剣でドラちゃんの尻尾を叩き切った。
尻尾がちぎれたかと思ったが…ドラちゃんの尻尾は固い鱗で覆われており、傷ひとつつけることができない。
『今のはなんだ?蚊が止まったのかと思ったぞ』
「うるさいうるさい!ママも妹も渡さないからな!」
素早く背中に駆け上がった兄は、そのまま頭の方まで駆け抜けてドラちゃんの目元まで到達すると、蜥蜴のような眼球に剣を刺し込もうとしてさすがに大暴れをされて振り落される。
『ガキが…よくも俺を怒らせたな』
ドラちゃんの口元から白い湯気が巻き起こった。