魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「わぁああん、パパぁーっ!」
コハクの姿を見た途端、堰を切ったかのように泣き出してしまった小さな勇者たちは、大人ぶっていてもまだ小さな子供だ。
にやついているコハクの右脚と左脚にそれぞれ木に登るかのように掴まり、わんわんと泣き続けた。
「よしよしチビ勇者共、遅れて悪かったな。怖かったか?ん?」
「パパ、ママが!エンジェルが!」
「わかってるって。お前たちよくここまで頑張って来たな。怪我してねえか?あいつ鎌なんか持ち出しやがって…」
熱風に黒髪をなぶられながら赤い瞳を細めたコハクの姿は、小さな勇者たちにとって何よりも頼り甲斐があって強そうに見える。
突然姿を現したコハクの登場に、デスは前進をやめて立ち止まると、腕の中で眠っているエンジェルを見下ろした。
「よう、俺の可愛いエンジェルを返してもらうぞ。この野郎、ガキ相手になに鎌出してんだよ。まさか殺すつもりだったんじゃねえだろうな」
「………俺……お姫様…攫った…」
「だから返してもらうっつってんだろが。おいチビ勇者共、ちょっと離れてろ。パパのかっこいいとこを見てろよー」
「パパやだ、怖いよ行かないでぇーっ」
今まで頑としてコハクのことを“魔王”と呼び続けてきたが、一旦“パパ”と呼んでしまうと昔甘えっ子でコハクから離れなかった時のようにひっついて離れなくなり、コハクはにんまりしながら兄の頭を撫でまくった。
「弟と一緒に手を繋いで見てろ。デスもドラも俺が懲らしめてやるからな」
『ふふふふ、俺が倒せるかな?今までお前の言う通りに大人しくしていたが、もう我慢ならん。ベイビィちゃんは俺のものだ』
演技なのか本音なのかわからないドラちゃんの挑発に乗ってやったコハクは、胸の中に手を突っ込むと、真っ黒な長剣を引き出した。
それを見た小さな勇者たちは嗚咽を上げながらも瞳を輝かせて頬を上気させた。
「僕…パパが戦うのはじめて見るかも…」
「危ないからもうちょと離れて見てよう。パパがママもエンジェルもきっと助けてくれるから」
岩陰に隠れてひょっこり顔だけ出してコハク対デスとドラちゃんの戦いを観戦することにした小さな勇者たちは、デスと対峙するコハクの姿に見惚れていた。
真っ黒な勇者の姿に興奮し、勇者の息子であることを密かに誇りに思っていた。
コハクの姿を見た途端、堰を切ったかのように泣き出してしまった小さな勇者たちは、大人ぶっていてもまだ小さな子供だ。
にやついているコハクの右脚と左脚にそれぞれ木に登るかのように掴まり、わんわんと泣き続けた。
「よしよしチビ勇者共、遅れて悪かったな。怖かったか?ん?」
「パパ、ママが!エンジェルが!」
「わかってるって。お前たちよくここまで頑張って来たな。怪我してねえか?あいつ鎌なんか持ち出しやがって…」
熱風に黒髪をなぶられながら赤い瞳を細めたコハクの姿は、小さな勇者たちにとって何よりも頼り甲斐があって強そうに見える。
突然姿を現したコハクの登場に、デスは前進をやめて立ち止まると、腕の中で眠っているエンジェルを見下ろした。
「よう、俺の可愛いエンジェルを返してもらうぞ。この野郎、ガキ相手になに鎌出してんだよ。まさか殺すつもりだったんじゃねえだろうな」
「………俺……お姫様…攫った…」
「だから返してもらうっつってんだろが。おいチビ勇者共、ちょっと離れてろ。パパのかっこいいとこを見てろよー」
「パパやだ、怖いよ行かないでぇーっ」
今まで頑としてコハクのことを“魔王”と呼び続けてきたが、一旦“パパ”と呼んでしまうと昔甘えっ子でコハクから離れなかった時のようにひっついて離れなくなり、コハクはにんまりしながら兄の頭を撫でまくった。
「弟と一緒に手を繋いで見てろ。デスもドラも俺が懲らしめてやるからな」
『ふふふふ、俺が倒せるかな?今までお前の言う通りに大人しくしていたが、もう我慢ならん。ベイビィちゃんは俺のものだ』
演技なのか本音なのかわからないドラちゃんの挑発に乗ってやったコハクは、胸の中に手を突っ込むと、真っ黒な長剣を引き出した。
それを見た小さな勇者たちは嗚咽を上げながらも瞳を輝かせて頬を上気させた。
「僕…パパが戦うのはじめて見るかも…」
「危ないからもうちょと離れて見てよう。パパがママもエンジェルもきっと助けてくれるから」
岩陰に隠れてひょっこり顔だけ出してコハク対デスとドラちゃんの戦いを観戦することにした小さな勇者たちは、デスと対峙するコハクの姿に見惚れていた。
真っ黒な勇者の姿に興奮し、勇者の息子であることを密かに誇りに思っていた。