魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクは不死なので、死神の鎌の攻撃を受けても死ぬことはない。
だが恐れることなく刃を交えて火花を散らしているコハクを見ていると、怖かった気持ちも忘れて涙が引っ込んでしまった小さな勇者たちは、ぽかんとした顔で戦うコハクを見つめていた。
「パパ……すごい…」
「認めたくないけど、パパは勇者なんだ。お姫様だったママと結婚して、次々に現れる敵に打ち勝ってきた勇者なんだ」
“魔王”と呼び始めたきっかけは、デスやオーディンやローズマリー、リロイたちといったコハクとラスの傍に居る人々がコハクを“魔王”と呼ぶから。
ラスからどういう経緯でそう呼ばれ始めたかを聞いてはいたが、大きくなるにつれて“パパ”と呼ぶのが恥ずかしくなり、いつしか魔王と呼ぶようになった。
「おらおら、どうしたこのエロドラゴン!お前の尻尾はちょん切ったら蜥蜴みたいに生えてくるのか?ああん?」
『く…っ』
詠唱破棄という高度な技術で魔法を使うコハクの愛用の黒い長剣には青白い炎が噴き出し、ドラちゃんの全身からは血が飛び散って苦悶と激怒の怒り声を上げている。
ドラゴンの叫び声は魂を弱らせる効果があり、それは小さな勇者たちにも及ぶはずだったが、彼らにも結界が張られてあり、コハクが守ってくれているのだとわかった小さな勇者たちは、頬を染めて手を握り直した。
「パパが守ってくれてる…」
「だって僕たちのパパだもん。僕は絶対助けに来てくれるって信じてたよ」
「あっ、ずるいぞ!俺だってそう思ってたもん!」
魔法使いのくせに長い生に飽きて剣にまで手を出して暇つぶしをしてきたコハクの剣捌きは華麗で、なおかつ隙が無い。
時々デスからの攻撃があるので2体1という不利な状況だったのだが、浮かべている表情を見ると…どうもその状況を楽しんでいる節があった。
「コー、やだ!ドラちゃんとデスを殺さないで!」
「殺すかよ。きつーいお仕置きをしてやってるだけー。それよかチビ、暑くねえか?もうすぐだからな」
「うん、大丈夫。もうその辺にしておいてあげてっ」
ラスに懇願されて仕方なくこの辺で切り上げることにしたコハクは、エンジェルを抱っこしているためにほとんどデスに攻撃していなかったのだが、最後に掌をデスに翳すと、右の頬に大きな裂傷を負わせた。
「………痛い…」
「お前にゃエンジェルは嫁にやんねえからな!」
本音が爆発すると、ぐっすり眠っていたエンジェルの大きな瞳がゆっくりと開いた。
だが恐れることなく刃を交えて火花を散らしているコハクを見ていると、怖かった気持ちも忘れて涙が引っ込んでしまった小さな勇者たちは、ぽかんとした顔で戦うコハクを見つめていた。
「パパ……すごい…」
「認めたくないけど、パパは勇者なんだ。お姫様だったママと結婚して、次々に現れる敵に打ち勝ってきた勇者なんだ」
“魔王”と呼び始めたきっかけは、デスやオーディンやローズマリー、リロイたちといったコハクとラスの傍に居る人々がコハクを“魔王”と呼ぶから。
ラスからどういう経緯でそう呼ばれ始めたかを聞いてはいたが、大きくなるにつれて“パパ”と呼ぶのが恥ずかしくなり、いつしか魔王と呼ぶようになった。
「おらおら、どうしたこのエロドラゴン!お前の尻尾はちょん切ったら蜥蜴みたいに生えてくるのか?ああん?」
『く…っ』
詠唱破棄という高度な技術で魔法を使うコハクの愛用の黒い長剣には青白い炎が噴き出し、ドラちゃんの全身からは血が飛び散って苦悶と激怒の怒り声を上げている。
ドラゴンの叫び声は魂を弱らせる効果があり、それは小さな勇者たちにも及ぶはずだったが、彼らにも結界が張られてあり、コハクが守ってくれているのだとわかった小さな勇者たちは、頬を染めて手を握り直した。
「パパが守ってくれてる…」
「だって僕たちのパパだもん。僕は絶対助けに来てくれるって信じてたよ」
「あっ、ずるいぞ!俺だってそう思ってたもん!」
魔法使いのくせに長い生に飽きて剣にまで手を出して暇つぶしをしてきたコハクの剣捌きは華麗で、なおかつ隙が無い。
時々デスからの攻撃があるので2体1という不利な状況だったのだが、浮かべている表情を見ると…どうもその状況を楽しんでいる節があった。
「コー、やだ!ドラちゃんとデスを殺さないで!」
「殺すかよ。きつーいお仕置きをしてやってるだけー。それよかチビ、暑くねえか?もうすぐだからな」
「うん、大丈夫。もうその辺にしておいてあげてっ」
ラスに懇願されて仕方なくこの辺で切り上げることにしたコハクは、エンジェルを抱っこしているためにほとんどデスに攻撃していなかったのだが、最後に掌をデスに翳すと、右の頬に大きな裂傷を負わせた。
「………痛い…」
「お前にゃエンジェルは嫁にやんねえからな!」
本音が爆発すると、ぐっすり眠っていたエンジェルの大きな瞳がゆっくりと開いた。