魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
目を擦りながら欠伸をしたエンジェルは、デスの右頬から血が滴っているのを見つけると、大きな緑の瞳をさらに見開いた。
しかもどうやらデスを攻撃したのは目の前に立っているコハクらしいと知ると、ラスにそっくりの顔がくしゃりと歪んで魔王、大慌て。
「え、エンジェル、パパの話を聞い…」
「やっ。パーパ、あっち行って!」
「違うんだ、パパはエンジェルを助けようと思って…」
「黒いの、ほっぺ痛い?痛いの痛いの飛んでけぇっ」
聞く耳持たずのエンジェルがデスの右頬に手を翳して何度もそう言うと、不思議なことに深かった傷口はすうっと消えてなくなり、次いで岩陰に隠れていた兄たちを見つけると、呆然としているコハクを差し置いてデスの腕から降りた。
「お兄ちゃん、痛いとこある?私が痛いの飛んでけしてあげる」
「うん、お兄ちゃんたちは大丈夫。パパが助けてくれたから」
そこでようやく顔を覆ってうずくまっているコハクの元に駆け寄ったエンジェルは、結界から出てきてコハクの背中を撫でてやっていたラスをじっと見つめた。
ラスが少し寂しげな顔で首を振ると、それで全てを悟ったエンジェルは、コハクの背中に無理矢理負ぶさって首に腕を回した。
「パーパ…ごめんなさい…」
「や、いいんだ、間違ってねえし。パパはお前をデスに攫われたから助けに来たんだ。あそこにいるチビ勇者たちもな」
「パパ…助けに来てくれてありがとう。その…嬉しかった…」
小さな勇者たちがもじもじしながらお礼を言ってコハクの両腕に抱き着くと、愛しい子供たちに慰められて少し元気が出たコハクは、エンジェルをおんぶしたまま立ち上がり、デスとドラちゃんに目配せて礼をした。
「“パパは世界一かっこよくて強くて優しい”って言ってみろ。そしたらピンチの時また助けに来てやるよ」
「う…っ。ぱ…パパは世界一かっこよくて、強くて優しくて…大好きだ!」
大好き宣言をした後急に気恥ずかしくなった小さな勇者たちがラスの背中に隠れると、きゅんきゅんしてしまってまた立ち上がれなくなりそうになり、ラスに笑われた。
「コー、顔が真っ赤だよ」
「だってこいつらめっちゃ可愛いし。よっし、こんな暑いとこ早く出てひとっ風呂浴びるぞー。みんなで入ろうぜ」
「やったー!ママ、僕が背中洗ってあげる!」
「じゃあ俺はパパの!」
仲良し家族に戻ってうきうきな魔王は、その後ドラちゃんの傷を治してやって仲直りをすると、力強い羽ばたきと共にグリーンリバーへと戻った。
しかもどうやらデスを攻撃したのは目の前に立っているコハクらしいと知ると、ラスにそっくりの顔がくしゃりと歪んで魔王、大慌て。
「え、エンジェル、パパの話を聞い…」
「やっ。パーパ、あっち行って!」
「違うんだ、パパはエンジェルを助けようと思って…」
「黒いの、ほっぺ痛い?痛いの痛いの飛んでけぇっ」
聞く耳持たずのエンジェルがデスの右頬に手を翳して何度もそう言うと、不思議なことに深かった傷口はすうっと消えてなくなり、次いで岩陰に隠れていた兄たちを見つけると、呆然としているコハクを差し置いてデスの腕から降りた。
「お兄ちゃん、痛いとこある?私が痛いの飛んでけしてあげる」
「うん、お兄ちゃんたちは大丈夫。パパが助けてくれたから」
そこでようやく顔を覆ってうずくまっているコハクの元に駆け寄ったエンジェルは、結界から出てきてコハクの背中を撫でてやっていたラスをじっと見つめた。
ラスが少し寂しげな顔で首を振ると、それで全てを悟ったエンジェルは、コハクの背中に無理矢理負ぶさって首に腕を回した。
「パーパ…ごめんなさい…」
「や、いいんだ、間違ってねえし。パパはお前をデスに攫われたから助けに来たんだ。あそこにいるチビ勇者たちもな」
「パパ…助けに来てくれてありがとう。その…嬉しかった…」
小さな勇者たちがもじもじしながらお礼を言ってコハクの両腕に抱き着くと、愛しい子供たちに慰められて少し元気が出たコハクは、エンジェルをおんぶしたまま立ち上がり、デスとドラちゃんに目配せて礼をした。
「“パパは世界一かっこよくて強くて優しい”って言ってみろ。そしたらピンチの時また助けに来てやるよ」
「う…っ。ぱ…パパは世界一かっこよくて、強くて優しくて…大好きだ!」
大好き宣言をした後急に気恥ずかしくなった小さな勇者たちがラスの背中に隠れると、きゅんきゅんしてしまってまた立ち上がれなくなりそうになり、ラスに笑われた。
「コー、顔が真っ赤だよ」
「だってこいつらめっちゃ可愛いし。よっし、こんな暑いとこ早く出てひとっ風呂浴びるぞー。みんなで入ろうぜ」
「やったー!ママ、僕が背中洗ってあげる!」
「じゃあ俺はパパの!」
仲良し家族に戻ってうきうきな魔王は、その後ドラちゃんの傷を治してやって仲直りをすると、力強い羽ばたきと共にグリーンリバーへと戻った。