魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「…そろそろ寝たか?」
「うん、寝息が聞こえるから多分寝たと思うよ。コー、今日は助けに来てくれてありがとう」
本当は小さな勇者たちにコハクを“パパ”と呼ばせるための作戦だったのだが、それも成功したし、ラスにとっては子供たちのピンチと自分を救いに来てくれた勇者に変わりない。
すやすやと眠っている子供たちの髪を撫でているととても愛しい気分になって、こんな幸せな時間を持てることに感激したラスが瞳を潤ませると、コハクは少しだけ上体を起こしてラスのぷっくりとした唇にキスをした。
「コー、起きちゃうから…」
「ぐっすり寝てるじゃん。俺にご褒美くれるだろ?今日はキスで我慢してやるよ」
「ん……」
唇の音が鳴り、それを子供たちに聞かれないかどきどきしたが、コハクは一向に構わずに舌を絡めてくる。
相変わらず情熱的で激しいキスにラスが翻弄されていると――
実はそれをこっそり見ていた小さな勇者たちは、布団に潜るふりをして限りなく小さな声でそれを語り合った。
「今の…見たか?」
「うん、ばっちり見た。パパ…ママを食べちゃいそうですごかった…」
「リロイおじさんやおじい様がパパのことをよく“色ぼけ”って言ってたけど、やっぱりそうだったんだ。…俺もあんなキスを早くしてみたいなあ」
「僕たちまだ子供なんだから早すぎるよ。ねえ、気付かれちゃうから早く寝ようよ」
弟がうとうとした声で目をしょぼしょぼさせていたので、それを見ているとつられるように眠たくなってしまった兄もすぐ寝入ってしまい、コハクとラスもその後あたたかい子供たちの体温に眠気を誘われて寝てしまった。
だがしばらくすると…
エンジェルがもぞりと起き上がり、目を擦りながらベッドから降りて部屋を出た。
向かったのは隣のデスの部屋で、精一杯手を伸ばしてドアノブを回すと、気配に気付いていたのか、デスは上半身身体を起こして膝を抱えてこちらを見ていた。
「黒いの…一緒に寝て」
「………魔王は…?」
「パーパに抱っこしてもらって寝たよ。だから次は黒いのと寝るの」
ふわふわのピンクのネグリジェを着たエンジェルが裸足のままふらふらしながらベッドに近寄る。
眠たくて仕方がないのにこうしてデスを訪ねるのは、デスの傍に居るともっと気持ちよく眠ることができるからだ。
「一緒に…いーい?」
「……うん。……こっち…」
伸ばして来た骨の指を握ったエンジェルは、デスの身体に抱き着いて安心したように、ほう、と息を吐いた。
「うん、寝息が聞こえるから多分寝たと思うよ。コー、今日は助けに来てくれてありがとう」
本当は小さな勇者たちにコハクを“パパ”と呼ばせるための作戦だったのだが、それも成功したし、ラスにとっては子供たちのピンチと自分を救いに来てくれた勇者に変わりない。
すやすやと眠っている子供たちの髪を撫でているととても愛しい気分になって、こんな幸せな時間を持てることに感激したラスが瞳を潤ませると、コハクは少しだけ上体を起こしてラスのぷっくりとした唇にキスをした。
「コー、起きちゃうから…」
「ぐっすり寝てるじゃん。俺にご褒美くれるだろ?今日はキスで我慢してやるよ」
「ん……」
唇の音が鳴り、それを子供たちに聞かれないかどきどきしたが、コハクは一向に構わずに舌を絡めてくる。
相変わらず情熱的で激しいキスにラスが翻弄されていると――
実はそれをこっそり見ていた小さな勇者たちは、布団に潜るふりをして限りなく小さな声でそれを語り合った。
「今の…見たか?」
「うん、ばっちり見た。パパ…ママを食べちゃいそうですごかった…」
「リロイおじさんやおじい様がパパのことをよく“色ぼけ”って言ってたけど、やっぱりそうだったんだ。…俺もあんなキスを早くしてみたいなあ」
「僕たちまだ子供なんだから早すぎるよ。ねえ、気付かれちゃうから早く寝ようよ」
弟がうとうとした声で目をしょぼしょぼさせていたので、それを見ているとつられるように眠たくなってしまった兄もすぐ寝入ってしまい、コハクとラスもその後あたたかい子供たちの体温に眠気を誘われて寝てしまった。
だがしばらくすると…
エンジェルがもぞりと起き上がり、目を擦りながらベッドから降りて部屋を出た。
向かったのは隣のデスの部屋で、精一杯手を伸ばしてドアノブを回すと、気配に気付いていたのか、デスは上半身身体を起こして膝を抱えてこちらを見ていた。
「黒いの…一緒に寝て」
「………魔王は…?」
「パーパに抱っこしてもらって寝たよ。だから次は黒いのと寝るの」
ふわふわのピンクのネグリジェを着たエンジェルが裸足のままふらふらしながらベッドに近寄る。
眠たくて仕方がないのにこうしてデスを訪ねるのは、デスの傍に居るともっと気持ちよく眠ることができるからだ。
「一緒に…いーい?」
「……うん。……こっち…」
伸ばして来た骨の指を握ったエンジェルは、デスの身体に抱き着いて安心したように、ほう、と息を吐いた。