魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
エンジェルの機嫌が良くなり、白いドレスのポケットからキャンディを出すと、イチゴ味のキャンディをデスに手渡して、もう1つを口に放り込んで骨の人差し指を握った。
「マーマのこと…好きなんでしょ?」
「………うん…」
「私のことも…マーマみたいに好き?」
「…………少し…違う…」
“何が違うのか”と喉まで出かかったが、もし傷つくようなことを言われたらと思うと口に出せなくなって、キャンディを舐めることに専念した。
デスはエンジェルがいつものように明るくて可愛らしい笑顔を見せないことが気になって、傍に割いていたピンク色の花を耳に挿してやると、キャンディのせいで膨らんでいる頬を指で突いた。
「……怒ってる…?」
「怒ってないもん。マーマはパーパのなんだから、大きくなったら私が忘れさせてあげる」
「…忘れさせて…あげる……?」
まだどうすればラスのことを忘れさせることができるのかさしたるアイディアもないままそう口走ったみたものの、いざ聞き返されると言葉に詰まってしまい、思わず口に含んでいたキャンディを丸ごと呑み込んでしまって顔を真っ赤にしながら咳き込むと、デスが背中を撫でてくれた。
「わかんないけど…でもマーマよりも、私の方が黒いのを幸せにできると思ってるもん」
「……俺を…幸せに……?」
自分が幸せになることなど考えていなかったデスは、小さな女の子にそう言われて首を傾げた。
金髪で明るい緑の瞳を持った可愛いエンジェルが自分を幸せにしてくれるというのは、どういう意味なのか――
「マーマはパーパと結婚してるから、黒いのとは結婚できないの。でも私は結婚してないし、大きくなったらマーマみたいに綺麗で可愛いレディーになるんだから。だから私が大きくなるまで黒いのは誰とも結婚しちゃ駄目」
「……俺……ものすごく…年上…」
「マーマとパーパもそうだって言ってたもん。ね、約束。私が黒いのを幸せにしてあげるから、マーマと私以外の女の子を好きになっちゃ駄目」
必死になって懇願してくるエンジェルの顔が面白くてついふっと笑ってしまったデスの笑顔に見惚れたエンジェルは、右の頬を突き出してキスを要求した。
「約束のチューして」
「………大きくなっても……俺のこと…好きでいてくれたら…ここに…してあげる…」
突き出した頬にではなく、可憐な唇にちょんと指で触れると、エンジェルは真っ赤になってデスの膝から降りると、両手で口を覆って城の中へと駆け戻った。
「ずっと好きだもん。絶対ぜーったい、好き!」
スキップしながら部屋に戻り、ベッドの上で飛び跳ねて喜びを爆発させて、小さな胸をときめかせた。
「マーマのこと…好きなんでしょ?」
「………うん…」
「私のことも…マーマみたいに好き?」
「…………少し…違う…」
“何が違うのか”と喉まで出かかったが、もし傷つくようなことを言われたらと思うと口に出せなくなって、キャンディを舐めることに専念した。
デスはエンジェルがいつものように明るくて可愛らしい笑顔を見せないことが気になって、傍に割いていたピンク色の花を耳に挿してやると、キャンディのせいで膨らんでいる頬を指で突いた。
「……怒ってる…?」
「怒ってないもん。マーマはパーパのなんだから、大きくなったら私が忘れさせてあげる」
「…忘れさせて…あげる……?」
まだどうすればラスのことを忘れさせることができるのかさしたるアイディアもないままそう口走ったみたものの、いざ聞き返されると言葉に詰まってしまい、思わず口に含んでいたキャンディを丸ごと呑み込んでしまって顔を真っ赤にしながら咳き込むと、デスが背中を撫でてくれた。
「わかんないけど…でもマーマよりも、私の方が黒いのを幸せにできると思ってるもん」
「……俺を…幸せに……?」
自分が幸せになることなど考えていなかったデスは、小さな女の子にそう言われて首を傾げた。
金髪で明るい緑の瞳を持った可愛いエンジェルが自分を幸せにしてくれるというのは、どういう意味なのか――
「マーマはパーパと結婚してるから、黒いのとは結婚できないの。でも私は結婚してないし、大きくなったらマーマみたいに綺麗で可愛いレディーになるんだから。だから私が大きくなるまで黒いのは誰とも結婚しちゃ駄目」
「……俺……ものすごく…年上…」
「マーマとパーパもそうだって言ってたもん。ね、約束。私が黒いのを幸せにしてあげるから、マーマと私以外の女の子を好きになっちゃ駄目」
必死になって懇願してくるエンジェルの顔が面白くてついふっと笑ってしまったデスの笑顔に見惚れたエンジェルは、右の頬を突き出してキスを要求した。
「約束のチューして」
「………大きくなっても……俺のこと…好きでいてくれたら…ここに…してあげる…」
突き出した頬にではなく、可憐な唇にちょんと指で触れると、エンジェルは真っ赤になってデスの膝から降りると、両手で口を覆って城の中へと駆け戻った。
「ずっと好きだもん。絶対ぜーったい、好き!」
スキップしながら部屋に戻り、ベッドの上で飛び跳ねて喜びを爆発させて、小さな胸をときめかせた。