魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「ライナー山脈を越えて行きましょう」
そう提案したのはオーディンで、ローズマリーを迎えにライナー山脈を越えて近道をしたグラースはそれに同意し、驚くティアラと腕を組んだ。
「大丈夫よ。白騎士団の隊長さんと、この世界の理を全て知っているなんでも屋さんと一緒なんだもの。それに癒しの魔法を使えるあなた。私はなにも心配してないわよ」
「ですが…」
「安心して下さいティアラ。僕もあれから強くなりました。それに早く元気なラスと…それと影と会いたいんです」
この世界を分断しているライナー山脈には一応ちゃんとした山道がある。
ただしレベルの高い魔物が棲みついていることで知られており、魔法の使える者が居なくなった今ライナー山脈は魔物の無法地帯と成り果てていた。
…だが、グラースが独りであの山脈を乗り越えることができたのだから、自分にできないことはない。
リロイは険しい山脈を見上げ、心強い仲間たちに笑いかけた。
「僕が傷ついたらお願いします」
「はい、任せて下さい」
――そしてティアラが馬車に乗り込み、その他の面々は馬で山登りを開始し、隻眼の男…オーディンが話しかけてきた。
「私はあなたを許していませんが…あなたはラス王女を本当に諦められますか?次にコハク様に剣を向けた時は…どうなるかわかっていますね?」
「…ええ、ラスのことは諦めます。あのお姫様が僕のことなんか最初から眼中になかったことは知っていたんです。だけど僕は諦めることができなくて…。でももう大丈夫です」
グラースは口を挟まず、空を旋回する巨大な鳥を注視し、オーディンが鞍につけていた杖でこつんと馬車を小さく叩くと、馬車は青白い結界に包まれた。
「今のは…魔法?」
「さてどうでしょう。私はミステリアスな存在でいたいのであまり質問しないで下さい」
「ちなみに私は魔法は使えないけれどオーディンに負けないほど博識よ。どう?知識勝負でもする?」
「いいですねえ」
あちこちで殺気を放つ魔物にさしたる警戒心も持たないアダルト2人組が盛り上がり、グラースが馬を寄せてくると肩を竦めた。
「どうやら要は私たち2人だけのようだな」
そう提案したのはオーディンで、ローズマリーを迎えにライナー山脈を越えて近道をしたグラースはそれに同意し、驚くティアラと腕を組んだ。
「大丈夫よ。白騎士団の隊長さんと、この世界の理を全て知っているなんでも屋さんと一緒なんだもの。それに癒しの魔法を使えるあなた。私はなにも心配してないわよ」
「ですが…」
「安心して下さいティアラ。僕もあれから強くなりました。それに早く元気なラスと…それと影と会いたいんです」
この世界を分断しているライナー山脈には一応ちゃんとした山道がある。
ただしレベルの高い魔物が棲みついていることで知られており、魔法の使える者が居なくなった今ライナー山脈は魔物の無法地帯と成り果てていた。
…だが、グラースが独りであの山脈を乗り越えることができたのだから、自分にできないことはない。
リロイは険しい山脈を見上げ、心強い仲間たちに笑いかけた。
「僕が傷ついたらお願いします」
「はい、任せて下さい」
――そしてティアラが馬車に乗り込み、その他の面々は馬で山登りを開始し、隻眼の男…オーディンが話しかけてきた。
「私はあなたを許していませんが…あなたはラス王女を本当に諦められますか?次にコハク様に剣を向けた時は…どうなるかわかっていますね?」
「…ええ、ラスのことは諦めます。あのお姫様が僕のことなんか最初から眼中になかったことは知っていたんです。だけど僕は諦めることができなくて…。でももう大丈夫です」
グラースは口を挟まず、空を旋回する巨大な鳥を注視し、オーディンが鞍につけていた杖でこつんと馬車を小さく叩くと、馬車は青白い結界に包まれた。
「今のは…魔法?」
「さてどうでしょう。私はミステリアスな存在でいたいのであまり質問しないで下さい」
「ちなみに私は魔法は使えないけれどオーディンに負けないほど博識よ。どう?知識勝負でもする?」
「いいですねえ」
あちこちで殺気を放つ魔物にさしたる警戒心も持たないアダルト2人組が盛り上がり、グラースが馬を寄せてくると肩を竦めた。
「どうやら要は私たち2人だけのようだな」