My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
act.1
イルミネーションの輝く、深夜1時を回った公園。
高校の制服を着たままの私、藤森沙亜矢はベンチへ腰を降ろした。
両手に包む、自動販売機で買った缶コーヒーの温もりがなくなって来た。
22時にバイトを終えて帰宅したものの、家には父親だけだった。
看護師をしてる母親は夜勤だとわかってたけど、お兄ちゃんも急に残業になったとか。
コートも携帯も家に置いて来た私は、朝まで帰れない。
辛うじて、ポケットに入れてた200円でコーヒーは買えたけど。
朝まで持たないのは確実。
…死にたい。
涙をどこかに忘れて来た私は、それだけをいつも願ってた。
5才の時、両親の再婚によって家族が出来た。
母親に連れられ、今の家に引っ越してからの1年間は幸せだった。
家庭的な父親。
優しいお兄ちゃん。
でも、父親がリストラになってから全てが狂い始めた。
専業主婦だった母親は、休職してた看護師に復帰。
お兄ちゃんはバイト詰め。
家に残った酒浸りになってた父親がある日、私だけに手を上げるようになり。
気付いた時には、襲われて居た。
母親は父親に手を上げる事は注意してくれた。
お兄ちゃんも、止めに入ってくれた。
しかし…その先の事を知らない。
無論、お兄ちゃんだって。
私1人、我慢するしかない。
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