My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
「次、またこの方に手を挙げてみろよ。てめぇの命、俺が無くしてやるよ」



「「…………」」



光希ちゃんと目を合わせて絶句して居ると、慎之介さんはビビりながら去って行く。



「さすが、加古ーカコーさん」



「褒めないで下さいよ。藤森さんには敵いませんから」



全く状況が掴めない。

取引先の人ではないの?

寒さに負け、私は3人をお店へ入れた。

お客様から英雄と讃えられる加古さんと呼ばれる人に、光希ちゃんが温かいコーヒーを淹れる。



「あ、すいません!気を使わせてしまって!」



「良いんです。沙亜矢のお兄さんの奢りなんですから」



「え?いつそうなったんですか?」



「今です」



光希ちゃんは加古さんにペコペコと、何度も頭を下げる中、私はお兄ちゃんのジャケットを引っ張った。


「加古さんて、取引先の人じゃないの?」



「取引先だけど、まぁな」



お兄ちゃんは曖昧に答えて、食事を再開。

藤森さんには敵わないって、何が?

しかし、考えても教えてくれそうにない。

私はオーナーに手招きされてる事に気付き、カウンターの前へと行く。



「光希、惚れた」



「……はい?」



「だから。助けてくれた彼を好きになってる」



…本当にっ??

一瞬理解が出来なかったけど、振り返ると光希ちゃんの頬がまだ赤い。

あれは寒さではなく、照れてるんだ。

言われてわかった。



「恋は不思議ですね」



「本当」



男嫌いだった光希ちゃんが恋か。

守ってくれる人って、カッコいいもんね。
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