My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
そう言えば、さっき慎之介さんを殴り飛ばした時の加古さんのオーラは凄まじかった。

真っ黒の、危ない雰囲気を醸し出すオーラ。



「沙亜矢ちゃん。コーヒー淹れ直せる?この子のせいで冷めちゃったよ」



「……わかりました」



初めて名前を呼ばれた。

お兄ちゃんが私を呼んだ時に覚えたんだろうけど、止めて欲しい。

胸糞が悪い。



「沙亜矢が淹れなくて良い!」



立ち上がり、コーヒーを下げに行こうとした私。

だけど光希ちゃんに止められた。



「この際だから、ハッキリと言わせて貰います」



首を傾げてると、光希ちゃんは鋭くお客様を睨んでる。

…何を言うの?



「貴方の我が儘、沙亜矢への好意は迷惑なんです」



「み、光希!;;」



オーナーはもうたじたじ。

私も黙って見る事しか出来ない。



「あそこに座る、紺のスーツの人見えますか?」



…お兄ちゃんの事?



「それが何だと言う」



「あの方は、沙亜矢の彼氏です。貴方には敵わないお方。諦めた方が身の為ですよ?」



「「「『…………』」」」




何という嘘を言うんだ。

いくら血が繋がず、似てない兄妹だからって。

嘘にも限度があると思う。



「ううう嘘だろっ!!;;」



「じゃあ何でドモるんですか?」



…光希ちゃん、強い;;
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