My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
act.2
「ただいまー……」
今日はクリスマスイブ。
仏教徒の私には関係のない日だが、オーナーにプレゼントされたケーキを片手に帰宅。
リビングでは、両親とお兄ちゃんが揃って居た。
3人だけだと母親の若さが引き立つけど、普通の家族だった。
父親は59歳。
母親は38歳。
見ようによっては、お兄ちゃんと母親が夫婦みたいだ。
「おかえり。寒かったでしょ?今ご飯温めるから、早く着替えておいで」
「うん」
部屋へと行き、制服を脱ぎ捨てて着替える。
鞄を開ければ、光希ちゃんから貰った手袋と手紙。
そして、来月に面接を受ける予定をしてる会社のパンフレットを出した。
担任に勧められたのは、まさかの航空会社。
キャビンアテンダントではなく、陸上勤務。
フロントの仕事だった。
英語の成績も悪くなく日常会話は出来る。
そして、今も接客のバイトをしてる事から推された。
採用されれば、寮としてマンションが借りられる。
条件はあまり悪くない。
ただ、ここから車で2時間は掛かって休みも不定休になる為、母親やお兄ちゃんと会えなくなる。
そこだけがネックだった。
「沙亜矢?早くおいで」
「うん」
私はパンフレットを机の引き出しにしまい、リビングへと行く。
そして父親の顔を見ないようにしながら食事をする。