My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
キッチンに置いといたケーキは、冷蔵庫にしまわれてる。

クリスマスを意識して、今夜はシチューに照り焼きのチキン。

いつもみたいなグリーンサラダではなく、彩り豊かなサラダが置かれた。



「沙亜矢、コレ」



テレビも見ずに食べてると、私でも知ってる有名なブランドの紙袋が置かれた。



「龍児君。沙亜矢にクリスマスプレゼント?」



「バイト頑張ってるから、ご褒美な?」



お兄ちゃんは私の頭を撫で、煙草を銜えた。

母親に急かされ、スプーンを置いて紙袋を開けた。

中には白い箱と、長方形のグレーのジュエリーケースが入って居た。

白のマフラーと、私には勿体ない同級生たちが騒いでたオープンハートのネックレス。



「ありがとう、お兄ちゃん……」



今まで何か欲しいと思っても、母親に頼めなかった。

バイト代でマフラーを買うのも何だか嫌だった。

だけどこれからは、あの公園に逃げる時にお兄ちゃんからのマフラーと、光希ちゃんから貰った手袋はして行こう。

そしたら朝まで寒さを凌げる。

そんな事考えてるから、私はダメなんだけど。

暗闇に、自分からも落ちて行く。



「沙亜矢、良かったね?」



「うん。本当、ありがとう」



私は母親とお兄ちゃんの2人にだけ微笑んだ。

久しぶりに、家族へ笑みを見せたと思う。

父親に二度と笑う事なくとも。




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