My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
翌日、送ってくれる母親と共に家を出た。
駐車場で別れ、私はお店へと急ぐ。
8時からと言えど、開店準備は少しでも手伝いたい。
朝はオーナーとママさんだから特に。
お世話になってるし、ママさんは腰痛持ちだから無理はさせたくない。
「おはようございます」
裏口から入り、パパッと着替えて仕事を開始。
掃き掃除に拭き掃除。
土日はいつもこのスタートだから、もう慣れてしまった。
「沙亜矢ちゃんとだと、足すかちゃうわ」
「ママさんの腰が痛んだら、お店が困るから」
「本当に優しい子ね!光希にも見習わせたい」
第一ここは、私の唯一の居場所だから。
掃除が終わり、案内看板を出せばオープン。
ゆで卵を作りながら、コーヒーの豆を挽く。
薫りが良く、味見がてら淹れ経ての一杯を飲むと、心が安らいだ。
「沙亜矢ちゃーん。クリスマスの朝の賄いは、今年も特別よ!」
「……朝からまたいきますか;;」
ママさんは大の甘党で、去年はエクレア。
今年はパイシュー。
しかも、小さめだからと2個。
私はコーヒーの苦味で甘さを緩和しながら、二つとも平らげたけど、また吐き気が込み上げた。
「あれ?沙亜矢ちゃん、甘党じゃなかったか?」
オーナーが不思議そうに見て来る。
確かに甘い物は嫌いじゃないけど、量にも限度はある。
「朝から食べ過ぎたからです。でも大丈夫です」
本当はかなり堪えたけど、早退は嫌。