My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
産婦人科でママさんに親のフリをして貰い、同意書にサインをして貰った。

処置した時の痛みは、忘れられないものになると思う。

病室には、同じように赤ちゃんを降ろすカップルが居たけど、どうして笑って居られるのか不思議だった。

好きな人との子供な筈なのに……。

私は罪悪感でいっぱいなのに……。

ママさんは仕事がある為、帰ってしまってからは私1人ベッドでゴロゴロ。

夕方には退院が出来るらしい。

泊まっても行けるらしいけど、お金が嵩むから断った。

コツコツと貯金してたけど、それもなくなっちゃったし。

着替えを済ませて、受付で頼んでおいた薬を受け取ってお店へ行く。

まだ家には、帰れないから。



「無理しない方が……」



「大丈夫です。動いてないと落ち着かなくて」



止めるオーナーを他所に、ボランティアとしてフロアに出た。

有難い事に、今日は満員御礼。

何も考えず、仕事に打ち込めた。

大学生アルバイトの香西ーコウザイーさんは、高校の先輩・後輩。

カウンターでコーヒーを飲みながら、先生たちについて話す事が好き。

数学の先生がまたハゲたとか。

私の担任はまだ独身だとか。



「相変わらずだよね、うちの高校も」



「本当ですよね」



22時まで、話が尽きる事はなかった。
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