My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
気まずいながらも部屋に戻り、濡れた髪の毛をタオルで拭きつつ、椅子に腰掛けた。

室内には時計の針音しか響かず、お兄ちゃんが何をしてるかもわからない。



「なぁ…」



沈黙を裂くように、お兄ちゃんの声が聞こえる。



「彼氏、出来たのか……?」



聞きたくなかったセリフ。

この言葉にはきっと、見られてた証拠。

どう、答えたら良いんだろう。

真実を言ったら、どうなるんだろう。



「……まぁ、ね」



―――言えないけど。

お兄ちゃんは、お兄ちゃんでしかないんだ。

私は、1人で生きる道を進むんだ。

そう思った矢先、カーテンが激しく開き、気付けば目の前に、お兄ちゃんが立っていた。

「どうしてだ……」



「何が?」



「いつになったら、俺に素直になるんだ」



「…………っ!!」



口振りや顔付きから。

お兄ちゃんが全てを知ってると、察知した。

それだけでなく、ベッドの下からは捨て忘れてた産婦人科で貰ったピルの入ってた袋。

言い逃れが、出来なくなった。



「……私が話したら、何か変わるのかな?お兄ちゃんは、ずっと私を守ってくれないのに。それなのに全てを話せと……?」



私の想いが膨れる中、お兄ちゃんにはストレスを与えてるかも知れない。

好きにならなければ。

父親と母親が、出会わなければ良かった。





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