My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
水族館を1周し、私たちは寒空の下の遊園地へと移動。

何に乗って良いのかわからず、取り敢えずフードコーナーへと行き、ベンチに座って休憩。

2人でホットコーヒーを飲みながら、パラソルの下でテーブルを囲む家族を見つめた。

お父さん、お母さんが居て。

お兄ちゃんと女の子がはしゃいでる。



「私たちにも、あんな時期があったんだよね」



「あぁ」



あの頃の私は、こんな未来になると予想もしてなかった。

お兄ちゃんを異性として好きになるなんて。

離した手は、寂しくて。

紙コップを握る事しか出来ない。

握ったら、離せなくなるんだ。



「お兄ちゃん、全て話すよ」



「ん?」



「何があったか……」



ずっと隠しておくのも、簡単。

父親から離れたら、水に流せなくても気が楽になるって。

でも、今話したいと心が叫んだ。



「暴力はね、お母さんやお兄ちゃんが怒ってくれて、ほとんどなくなったの。見えない所なら良いだろって、時々お腹を蹴られたりしてた位」



思い出すと甦る痛み。

けど、そんなの可愛い方で。



「でも中3のある時、お母さんもお兄ちゃんも居なくて出掛けようとしたら、見つかって……。気付いたら、ヤられてた」



父親にヤられた日ほど、嫌で。

痛くて。

苦しい事なんてなかった。
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