My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
キスしてとか、前戯があったわけじゃない。

いきなり私を貫いたソレを、未経験の私にはどうする事も出来なかった。

人には簡単に言えない事なのに、脅しまで言って来た父親からは、もう逃げれなかった。



「ずっと、言われてた」



偽善だと思われても構わない。



「事実を言ったら、お母さんとお兄ちゃんも殺すって」



ただ、守りたかっただけだから。

自分か大切な人のどちらかしか守れないなら。



「汚れた私なんていらなかったから、黙ってた。お母さんもお兄ちゃんも、居なくなったら困るから……」



恩着せがましい言い方になったかも知れない。

それでも、本心なんだけど。



「馬鹿だな、沙亜矢は」



「馬鹿で……良い……」



隣り合う椅子に座ってた私は、お兄ちゃん頭を引き寄せられた。

気付いたら肩に寄り添う体勢にされて居て、ドクンッと胸が跳ねた。

視線を上げると、お兄ちゃんがこちらを見ていて後悔。

嬉しさよりも溢れる恥ずかしさに堪らない。



「カップルに見られちゃうよ」



「嫌なのか?」



「嫌なわけ……」



恥ずかしさでおかしくなりそう。

心臓が壊れそう。



「沙亜矢」



「何……?」



「好きだ。俺もな」



…“俺も”?

それって……え……??

固まる私の頬を、お兄ちゃんが引っ張って来る。



「大丈夫か?」



「……私、気持ち……」



「光希ちゃんから聞いた」



…光希ちゃん;;

何を話してくれてるんだろう;;
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