My Love―お兄ちゃんとどこまでも―



――翌日、私はいつも通りにバイトが始まる1時間前に出勤する。

家に帰るのが嫌だから、学校から直接来てる。

バイト先は、日中はカフェとして、夜はバーみたいになるお店。

白いワイシャツに、黒のベストとパンツ姿で、接客を行う。



「まーた、お父さん?」



着替えを終えた私の所に、先輩の風見光希ーカザミミツキーちゃんが現れた。

21歳で、2才の子供が居るオーナーの娘さん。

旦那さんとはDVを理由に離婚して居る。

私の親友であり、お姉さんみたいな人。



「昨日、またお金をね……」



光希ちゃんには全てを話してる。

彼女が居なければ、私は吐き口がなくて自分から死んでたかも知れない。

光希ちゃんが持って来てくれたアメリカンを口にし、溜め息。



「本当、クズばっかだね」



光希ちゃんは綺麗で、口調は少し悪くとも根は優しい人だから、また恋すれば良いのに“男に懲りた”と言ってる。

完全に、男を毛嫌いしてる。

子供が女の子である事をいつも喜んでた。

同じ思いをしないように、男の見極め方を教えると言ってた。

お祖父ちゃん、オーナーのような人を見付けさせるって。



「でも、お兄さんは来てくれたんでしょ?」



「まぁ、ね」



話を聞いてくれた光希ちゃんに、私には顔を顰めた。

お兄ちゃんが来てくれて、嬉しいのにどこか苦しくもある。

助けられる度に、好きになってしまう。

恋人が居るだろうに、仕事以外では私ばかり。
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