My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
act.4
水族館、遊園地で過ごした時間は、本当に幻だったのかも知れない。
早いもので、1月の半ば。
私はバイトに明け暮れて、就職も決まって学校も行かなくても良くなった。
4月からは、空港でチケットカウンター業務の仕事。
もちろんそれだけでなく、荷物の受付だってあるけど。
「こうして沙亜矢と話せるのも、後ちょっとか」
「後2ヶ月あるよ?それに、加古さんが居るでしょ」
最近、光希ちゃんは加古さんと正式にお付き合いを始めた。
詳しくはわからないけど、お兄ちゃんのお陰らしい。
妬けちゃう位、仲良し。
光希ちゃんが夕方までの時は、デートの為にお迎えがあって。
夜までの時は、ママさんが居るのに加古さんが幼稚園まで希ちゃんを迎えに行ってる。
「パパって呼んで」って、いつも半泣きになったりしながら、希ちゃんに“パパ”という単語を教えてる。
妬けちゃうけど、凄く良い彼氏に巡り会えたって、思う。
「今日は希と一緒にお泊まりなんだよ!」
「ごちそうさまでーす(笑)」
コーヒーを飲み干し、光希ちゃんに舌を出して背を向けた。
来月分のチケットをまとめながら、フロア業務。
すると、カウンターに置いてた携帯が光った。