My Love―お兄ちゃんとどこまでも―



バイトが久しぶりに休みとなった日曜日。

私は1人、家を出た。

卒業まで1ヶ月を切り、就職先となる場へと行き、他人として実父と働くのも良いけれど。

会いたい気持ちが増して居た。

電車に乗れば、時間は掛かるも一本で行ける。

写真を握り締め、期待と不安が入り交じる中、空港へ。

カウンターを見据えて深呼吸。



「すいません……っ」



「はい、いかがなさいましたか?」



勇気を出し、パソコンを見つめてた女性に、声を掛けた。



「この人、長田陽矢さんにお会いしたいんですが……」



声が震える。

写真を提示した手までが、小刻みに震え上がる。



「失礼ですが、長田とのご関係は」



「……親子です。母とは離婚しましたけれど」



「左様でございますか……。少々お待ち下さいませ」



他のスタッフさんに相談しに行く姿に、逃げたくもなった。

断られたら、次は自分で探して事実を告げるしかない。

アポイントメントを取らない限り、会えない位、遠い存在だと思うけど。



「申し訳ございません。長田はただいま出勤途中でして」



「え……会わせて下さろうとしたんですか?信じてくれたんですか?」



驚く私に、笑顔で頷いてくれた女性。

堪らず頭を下げた。
< 46 / 74 >

この作品をシェア

pagetop