My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
バイトが久しぶりに休みとなった日曜日。
私は1人、家を出た。
卒業まで1ヶ月を切り、就職先となる場へと行き、他人として実父と働くのも良いけれど。
会いたい気持ちが増して居た。
電車に乗れば、時間は掛かるも一本で行ける。
写真を握り締め、期待と不安が入り交じる中、空港へ。
カウンターを見据えて深呼吸。
「すいません……っ」
「はい、いかがなさいましたか?」
勇気を出し、パソコンを見つめてた女性に、声を掛けた。
「この人、長田陽矢さんにお会いしたいんですが……」
声が震える。
写真を提示した手までが、小刻みに震え上がる。
「失礼ですが、長田とのご関係は」
「……親子です。母とは離婚しましたけれど」
「左様でございますか……。少々お待ち下さいませ」
他のスタッフさんに相談しに行く姿に、逃げたくもなった。
断られたら、次は自分で探して事実を告げるしかない。
アポイントメントを取らない限り、会えない位、遠い存在だと思うけど。
「申し訳ございません。長田はただいま出勤途中でして」
「え……会わせて下さろうとしたんですか?信じてくれたんですか?」
驚く私に、笑顔で頷いてくれた女性。
堪らず頭を下げた。