My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
私の表情を見て察した加古さんは、「ごめんね」と謝り、顔を背けた。



「何回も人に話したくないし、私も仮に家族だった人を訴えるのは、シンドイです……。でも私、大丈夫ですから!早く光希ちゃん、連れて帰ってあげて下さい」



2人を見送り、布団を頭から被った。

やるせない気持ちが立ち込め、むしゃくしゃする。



「もーーーっ゛!!」



足をジタバタさせた。

だけど動くのは右足だけ。

頭の中では動いてる筈なのに、実際は固まったままの左足。

更に気分が悪い。



「沙亜矢?飲み物でも買って来ようか」



母親の声が聞こえ、顔を少し出す。



「……コーヒー、欲しい……」



「わかったわ」



母親の悲痛な顔付きが胸を刺す。

私が家族を壊したんだ。

当然と言えば、当然の反応をされたんだろう。

愛した男が、娘を犯してた。

それはどんな感覚か。

想像してもわからない。

私はスッキリしても、母親はそうではない。

…ごめんね、お母さん……。

本当に、ごめんなさい……。





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