My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
どちらかと言えば、裏方の仕事が好きな私は、食洗機に掛けられたグラスやお皿を拭きながら、注文されたドリンクを淹れる。

夕方はまだコーヒーやソフトドリンクがよく出る。

軽食のサンドイッチや、ピザトーストだって作れる。

接客と違い、無心に出来て私はいつもより張り切ってたと思う。



「ごめん沙亜矢!一番にお冷やとおしぼり」



「了解」



しかし、光希ちゃんだけで手が回らない時は私もキッチンを飛び出す。



「光希は沙亜矢ちゃんよりダメだな」



「何を言ってるんですか?バイト経験は私の方が長いんですから当然です!」



私はオーナーに微笑み、一番テーブルへ向かう。



「いらっしゃいま……せ?」



私がテーブルに行くと、後ろ姿では今一わからなかったけど、お兄ちゃんだった。

お相手は取引先の人たまろうか。

同年代ぽいけど、話口調で察する。



「頑張ってるか?沙亜矢」



「うん……」



「お知り合いですか?」



「妹です」



目の前で、笑顔で談笑する2人。

私はお冷やとおしぼりを出し、頭を下げて離れる。



「ねぇ沙亜矢!あれが例のお兄さん?カッコいいね!モデル顔負け!」



器を下げに来た光希ちゃんがニヤニヤとしてる。

本当、私と違って容姿端麗。

実のお母さんが、写真で見る限り本当に美人な人だった。
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