My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
「どうしたのかしら……。龍児君、沙亜矢を大切にしてくれるから、話しをしてなくて、ショックを受けさせてしまったかな?」



「……どうだろうね……」



「そろそろ行こうか。もう良い時間よ」



「……うん」



私は今、何にショックを受けてるんだろう。

婚約者の人にバレたから?

しかも相手はお嬢様。

普通のサラリーマンからすれば良い縁談なのに、龍児がそれを望んでない事を良い事に、調子に乗ってたんだろうか。

力尽くで、奪いに来たりしないよね……?



「あ、龍児君だわ!龍児くーん!!」



「亜矢子さん!こっちですこっち!」



テンションの上がった母親は、龍児に大きく手を振った。

いくら気分が沈んでたとは言え、恥ずかしい。

母親の腕を降ろさせて、龍児の待つレストランの前へ。

美味しいと評判のオムライスを注文し、母親と龍児はビールで乾杯。



「そう言えば、さっき有紀さんに会ったわよ?」



「そうなんですか。元気でしたか?」



「「……は?」」



藍川原さんへの気まずさに、一緒に居るところを見られてないか心配をしてたのに、母親が普通に会った事を報告してしまった。

隣に座る龍児をチラチラと見てたけど、表現を崩さないまま、“元気でしたか?”なんて……。
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