My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
「言わなかった龍児の方が悪いでしょ!そりゃあ嘘を吐く藍川原さんの方がもっと悪い!それにまだお母さんには話してなかったのに、何でそんないきなり“彼氏”って言っちゃうの?;;」



「あ。言われてみればそうだな。ハハッ……;;」



龍児は苦笑いをしながら、私から母親の方へと視線を移した。

母親も苦笑いで、「まぁ、他人になったんだものね……;;」と答えながら目を逸らした。



「いつか藤森姓に戻しますけど……、それでも良いですか?;;」



「もちろん!私も、長田姓に……;;」



「え?何ですか?」



「私も、長田に戻ろうかと……;;」



…何て……?;;

ゴニョゴニョと答える母親に、私は思わず目を見開いた。

いつの間にそんな事になってたの??

マンションに来ても、上がりもしなかったのに急に何でそうなったの!??



「別にね?子供の前でなんだけど、男と女としてもう一度歩もうってわけじゃないの!何と言うのかな……。共に老後を生きようと思うの。例えば縁側で、会話も何もいらないし、2人の間に距離があろうと、同じもの見つめて居たい。それが孫であったら、嬉しいね……って、話してたの」



「お母さん……」



本当は、アパートで1人寂しいんじゃないかといつも考えてた。

父親と再会した頃は、父親にそんな事を思っていた。
< 62 / 74 >

この作品をシェア

pagetop