My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
私は注文を聞くのを忘れててた為、慌ててお兄ちゃんたちの元へ戻る。



「ご注文はどうなさいますか?」



「和風ハンバーグとナポリタン。後、食後にホット二つ」



「畏まりました。ごゆっくりどうぞ」



私は注文書に記入し、控えをテーブルに置いてキッチンに居るオーナーに伝える。



「了解!フロア任せた」



そして、一緒に作ろうと思った刹那、光希ちゃんが中に入ってしまった。

断る事も出来ないまま、カウンターに置かれたコーヒーや紅茶を運ぶ。



「お待たせしました。アイスコーヒーのお客様」



上田さんの時はいつもフロアだったから、これじゃあ何も変わらない。

別に、嫌ではないけどね。



「一番テーブルの出来たよ」



「はーい」



和風ハンバーグとナポリタンがそれぞれ乗った料理を運ぶ。



「お待たせしました。ナポリタンは……こちら様ですよね?」



お兄ちゃんがスパゲッティが苦手なのは重々承知してる。

お兄ちゃんの頷く姿を見ながら、和風ハンバーグの定食が乗るトレイと置いて、入って来たお客様を出迎えに行く。



「いら……っ」



しかし、固まった。

この店でバイトを始めて、初めて見るヤクザみたいな人。

平常心を保とうにも、どうすれば良いかわからない。



「慎之介ーシンノスケー……」



でも、光希ちゃんの声でわかった事が一つ。

この人、光希ちゃんの別れた旦那さんだ。
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