My Love―お兄ちゃんとどこまでも―



「お邪魔しますよ……っと」



明かりの消えた、1DKのアパート。

金曜日の恒例となって来た龍児の家にお泊まりの日。

鞄と買い物袋を台所に置き、カーテンを開くと、眩しい夕陽が射し込んで来た。

相変わらず、綺麗でさっぱりとした部屋。

洗濯物を取り込み、畳んで片付ける。

龍児の帰宅は19時頃。

ご飯はタイマーセットして行くように頼んで居た為、普段は目の行き届かないであろう窓のレールや、押し入れの仕切りを雑巾掛け。

別にきっちりした性格ではない。

今でも母親に甘えて、あまり家事は細かくしてるわけじゃない。

だけど、小さな事でも女らしくありたい。

料理だけでは、何のアピールにもならない。

龍児はそんな事を求めてなくても、女に生まれたからの性分なのかも知れない。

一通り拭き掃除を済ませ、晩御飯の準備に取り掛かる。

最初はキッチン用品などなかった部屋。

私が取り揃えたものばかり。

場所も私が勝手に詰め込んでた為、スムーズに調理を進める。

2口コンロでも、何とか我ながら器用にいくつか作り、冷凍庫へのストックも出来た。

1人になってから、コンビニのお弁当や、会社近くのデパ地下の総菜コーナーで済ませるようになった龍児。

身体の事も考えて、私は勝手にやってる。

結果、食べてくれるから良いんだけど。
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