My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
今晩は和食にした。

お味噌汁に鰺の開き。

モヤシを胡麻和えに、胡瓜とタコの酢の物。

シンプルだけど、ストックといい洋食が目立つ為、これで良い。

それに土日の夜も一緒に食べるんだから、今日が和食でも、未だに食べ盛りであろう龍児も文句は言わない。



「ただいま」



「おかえり」



特に飛び跳ねるような出迎えもせず、ご飯を運びながら出迎える。

車のキーをチェストに投げた龍児から、ジャケットとネクタイを受け取り、ハンガーへと掛ける。




「ビール?お茶?」



「ビール」



5分位前に冷凍庫に入れておいたビールを渡すと、半分程を一気に呑む。



「疲れた?」



「……疲れてない」



「もう何も言わないから、素直に言って良いんだけど;;」



いつだったか、かなり疲れた様子で帰って来た龍児。

疲れたという為、その夜は何事もなく寝るだろうと私は思ってた。

なのに龍児は、布団に寝るなり私に跨がって来た。

そんな彼に「疲れたんじゃないの?寝なよ」と言ってしまってから、龍児は“疲れた”と言わなくなってしまった。

どうやら男というものは、夜と仕事の体力は違うところから出てるらしい。

藤原の父親の事があったのにと、思われてしまうだろうけど。
< 71 / 74 >

この作品をシェア

pagetop