My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
「嫌なわけねぇだろ?俺だって、沙亜矢から“おかえり”って言われたい」



「じゃあ……!」



「但し、同棲は断る」



「……何で?」



一瞬、舞い上がった私は、肩をストンと落とした。

“どっちなの?”と聞き返すのは簡単。

だけど、実際はそんな甘くなくて、自分が思ってた以上にショックで、怒りに悲しみが勝った。



「俺はまた、沙亜矢と家族に戻りたい」



「……龍児……?」



「妹じゃなく、嫁として」



「龍児……っ」



焦ってなくても、嬉しくて涙が込み上げた。

まだ、家族としての縁が切れてから然程時間は経ってない。

だけど、何があっても“藤森沙亜矢”という名前が、私の人生を占めて居て、幸せで楽しい時間でもあった。



「良いか?藤森でも」



「うん……っ……。藤森になる……っ」



龍児に肩を抱かれ、喜びを噛み締める。

光希ちゃんや両親に、叫びたい気分だけど勿体ない。



「日曜日、挨拶に行こうな」



「でも、亜矢子さんのままだよ?」



「1回でも“お母さん”て呼ばせろよ」



「私に言わないで;;」



一度は兄妹だった私たちが、夫婦としてまた家族になる。

それは人にどう見えるのか、私には全くわからない。

けど私たちがそれで幸せなら、それで良いんじゃないかと思う。

もしも後ろ指を指されるなら、私は龍児とどこへでも行く。

言葉が通じなくても構わない。

だって、私たちには愛がある。

何にも負けない、強い愛が――…。






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