My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
光希ちゃんが慎之介さんを連れ出して数分。

外をチラチラ見ながらも、仕事を続ける。



「光希ちゃんどうしたんだい。顔が真っ青じゃないか」



「……そうですね;;」



常連さんたちも光希ちゃんを心配そうで、私の仕事がなくなる。

お水を注ぎに行っても、グラスが一つも空いてないんだ。



「オーナー……良いんですか?」



「あいつは警察でもなかなかな……」



私はいざとなれば庇おうと、ドアの鈴が鳴らないよう、静かにお店を出た。



「いい加減、許してくれても良いだろ!!」



「何を許せと」



一方的に、慎之介さんが怒鳴ってる。

ブロック塀に隠れながら話を聞いてると、次第に光希ちゃんまで怒りを露にしてるとわかった。

今まで溜まってたモノが溢れてるんだろう。

だけどこれは逆効果。

光希ちゃんの胸倉を掴み、拳を振り上げてる慎之介さん。



「止めて下さい――ッ!!」



気付けば私は、止めに入って居た。

やっと解放されて、今を幸せに生きてる光希ちゃんをまた苦しめないで欲しい。

私は現在進行形で何の問題もないけど、光希ちゃんは違うんだ。



「誰だてめぇ」



「光希ちゃんの親友です。光希ちゃんを殴ったら、許しません……っ!」



父親とは比べられない位、強そうだ。

でも、だからって負けない。
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