ボクは桜、キミは唄う
そんなの

「知らないよぉ」

「でもそんな大それた感じじゃなかったみたいだし。けど、たまたま聞いてたアキちゃんのクラスメートがアキちゃんに付き合えばいいじゃんって話を進めちゃってさ。

多分、ナカの告白、あいつ本当は嬉しかったと思うんだけど、なんか後に引けない感じにもなっちゃって。

強がりだから。だからあいつ、なんか最近おかしいんだ」

「じ、じゃあ、本当は今でも、北川君ナカちゃんが好きなの？」

「……さぁ？」

柚木君は、本当は知ってますっていう顔して、しらを切る。

「なんかおかしいよ。お互い好きなんだとしたら、どうして？」

「──俺じゃナカには釣り合わないって、前に言ってたけど。ナカはいいやつ見つければいい、みたいな」

ドキッとした。

釣り合わないと感じるから、相手のために諦めるのも愛情？

私は──

いつもオーラを発して輝いてる柚木君に対して、至って平凡な私。

柚木君、なんで私なの？

何度も聞こうとしたけど、聞けずにいる。

聞いて、私が凡人だって気付いちゃったら、あっさりフラれるのかなと思うと怖くて。

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