ボクは桜、キミは唄う
凡人で臆病で、欲張り。

「って相手のこと思ってるように見せかけといて、実は付き合う勇気がないだけかもしれないけどね。

そうそうそれでさ、5年の時、ナカ見送ってさ、やっぱ予定変更ってなって今度は楓花の学校見に行ったんだ、俺ら」

「私……の?」

「そー。同じ学校な事ーつって、一緒に通うの想像して歩いて。そしたらお巡りさんに捕まったんだよ。君達学校は?って。ぐははははっ」

柚木君は私の不安なんか吹き飛ばすように大笑いした。

「長かったぁ〜」

「何が?」

「一緒にさ、学校行ったり帰ったりするの、俺の夢だったんだ。5年から毎日指折り数えて、やっと同じ学校になれた。へへっ」

私は幸せすぎる。

「しかも、彼女~」

こんなに純粋で明るくて優しい彼に、想ってもらえるなんて。

「あー、これ、」

柚木君はアルバムのページをめくると、松葉杖をついている写真を指さした。
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