ボクは桜、キミは唄う
「結局また別の日に、楓花の学校に放課後新と見に行ったんだけど。

そん時さ、ピアノの音が聞こえたんだ。で、もしかしたら楓花かもと思ってそこにいた1年捕まえて音楽室どこだ?って聞いてさー」

私の知らない柚木君が、私を探してくれてた?

「教えてもらった2階の窓めがけて、近くの木に登って中覗いたら、太ったオバチャンが弾いてんの。で、目が合ってヤバッと思ったら木から落ちて骨折」

「うそ?」

思わず聞き返してしまった。

そんな……。

「本当本当。そんでもその騒ぎに気づいた楓花が来るかもって思って、俺めちゃくちゃ痛いの我慢して周りキョロキョロしてさー」

うそ。

「けど、やっぱりいなくて」

うそ、うそ。

柚木君が、私を?

目の前の柚木君が、私には眩しすぎるくらいなのに。

こんなにも眩しいひとが、私の知らないところで、私をそんな風に探していてくれてたなんて。

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