ボクは桜、キミは唄う
「なんで泣いてんの?ボタンじゃなかった?」

たまたまピアノを弾いていたってだけで、今私はここにいるんだ。

そのせいで影で泣いてる女の子が何人いるだろう?

その中には柚木君をもっともっと幸せにできる素敵な人が……いるんだろうな。

北川君は、すごいや。

私には真似できない。

「柚木君……」

「ん?」

「もし、私があの日、ピアノを弾いてなかったら」

「うん」

「そしたらきっと今が違ってるよね?」

柚木君はキョトンとして、少し考える。

でもまたすぐにニカッと笑って

「違わないだろ」

って、当たり前のように言った。

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