ボクは桜、キミは唄う
よくわかんないけど、脩君はなぜか忘れ物をすると、学年違うのにわざわざ私に借りに来る。
同じ学年の、他のクラスに聞きに行った方が明らかに早いはずなのに。
「借りにくるんだから、貸すのは仕方ないんだけどさ。けど、本当はちょっとやだ」
柚木くんが、今度は小さな少年のように膨れる。
「しかもその度に抱きついてるじゃん。辞書なんて実は忘れてなくて、結局楓花に触るための口実なんじゃないの?」
「じ、じゃあ、もう貸さない」
「──借りに来ても?」
「うん」
私の不安をかき消そうと、気持ちを伝えてくれた柚木君。
だから、私も出来る限り不安にさせない努力をしたい。
「嫌でしょ?私も辺な噂が立つのもいやだもん。そうだ、もう脩くんとも話さない。そしたらきっと」
「楓花いいよ、大丈夫。いきなり無視するわけにもいかないだろ。
ごめん。ちょっとした俺の焼きもちだからさ」
柚木くんは照れくさそうに、でも「楓花のその言葉だけで、安心できるから」って、膨れた顔を笑顔に変えてくれた。
「柚木君」
安心、した?
安心させられた?
「ん?」
まだ残っていた涙を両手で拭って、柚木君を真っ直ぐ見つめる。
私は何も持ってないけど
「好き」
もう少し、側にいてもいいですか。
柚木君は満面の笑みで
「初めて言ってくれた」
って真っ直ぐ見つめ返してくれた。
「やっぱもうボタンあげる」
そして、ワイシャツのボタンを無理矢理剥ぎ取ろうとする。
同じ学年の、他のクラスに聞きに行った方が明らかに早いはずなのに。
「借りにくるんだから、貸すのは仕方ないんだけどさ。けど、本当はちょっとやだ」
柚木くんが、今度は小さな少年のように膨れる。
「しかもその度に抱きついてるじゃん。辞書なんて実は忘れてなくて、結局楓花に触るための口実なんじゃないの?」
「じ、じゃあ、もう貸さない」
「──借りに来ても?」
「うん」
私の不安をかき消そうと、気持ちを伝えてくれた柚木君。
だから、私も出来る限り不安にさせない努力をしたい。
「嫌でしょ?私も辺な噂が立つのもいやだもん。そうだ、もう脩くんとも話さない。そしたらきっと」
「楓花いいよ、大丈夫。いきなり無視するわけにもいかないだろ。
ごめん。ちょっとした俺の焼きもちだからさ」
柚木くんは照れくさそうに、でも「楓花のその言葉だけで、安心できるから」って、膨れた顔を笑顔に変えてくれた。
「柚木君」
安心、した?
安心させられた?
「ん?」
まだ残っていた涙を両手で拭って、柚木君を真っ直ぐ見つめる。
私は何も持ってないけど
「好き」
もう少し、側にいてもいいですか。
柚木君は満面の笑みで
「初めて言ってくれた」
って真っ直ぐ見つめ返してくれた。
「やっぱもうボタンあげる」
そして、ワイシャツのボタンを無理矢理剥ぎ取ろうとする。