ボクは桜、キミは唄う
「やだぁ。汚ぁい。ごみ箱あさってる」

気づいたマネージャーが私達を指差して、笑いながら言う。

スリッパ履いたままゴミ箱をあさる私達に、教室にいた先輩方が全員注目した。

惨めで悔しい。

泣きそうになって俯くと

「汚いのはどっちよ?」

ナカちゃんは負けず、マネージャーに言い返してくれた。

「何?喧嘩?朝からやめようよ。ね、楓ちゃん」

それを見ていた脩君は私達の間に入って宥める。

まるで喧嘩を売ったのが私達みたいな言い方。

でも確かにマネージャーが靴を隠したという証拠はないし、勝手に教室に入り込んだこっちの方が確実に不利だ。

「でも、アイツが」

ナカちゃんの苛立ちはおさまらず、さらに脩君に言い返そうとしているけど。

脩君はそんな私達を「とりあえず落ち着いて」と引っ張り、廊下に出ると

「いつかやるとは思ってたんだ。最近楓ちゃんと彼氏も目立ってきたしね。けど、あいつ癖あるから怒らせるとエスカレートするよ。気をつけて」

コソッと話してくれた。

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