ボクは桜、キミは唄う
「やっぱさ、テスト前だし、ちゃんと勉強しなきゃヤバイね。こっちの方がやっぱ広いかな?」

柚木君は立ち上がると、また向かい側の席に座った。

「柚木君……」

不安そうな私に気づいたのか

「わーっ!違うからね!怒ってるとかそういうんじゃないから。これは俺の中のある事情が」

と、慌てて訂正するけど。

「事情??」

よくわからないから、さらに不安になる私。

「やっぱ、楓花のせいかも」

「私??」

何かしちゃったんだろうか??

「彼女として特別扱いして欲しいとか、実感したいとか、ここで言っちゃダメだろ」

「……ごめん、なさい」

何がなんだかわかんない私は、さらに不安をつのらせる。

それに気づいたのか、あーもー!って頭をグシャグシャとかきまぜた柚木君はまた立ち上り、私の隣の戻ってきた。

そして

「ここ、俺の部屋」

なんて、当たり前のことを言う。

「う、うん」

「で、二人きり」

「はい」

「一応、男だし」

「う…ん?」

「この状況で、彼女なんだって実感したいなんて言われたら──」












「……ゆ、ゆず、」

え?今、何があった??

温かさを感じた自分の唇に指を当てる。

今──キス、された?

「こういうこと、したくなっちゃうだろ」

え??

えぇぇぇぇ??

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