ボクは桜、キミは唄う
「ナカ、早いじゃん」

「あれ?邪魔だった?私。二人の時間奪っちゃったー?」

「ううん!」
「うん!」

あれれ?私の返事と重なって、柚木君から正反対の返事が聞こえた。

「ハッキリ言うねー柚木。去年まで私がいなきゃ楓花に話しかけられなかったくせに」

「うるせーよ」

「あ、ナカちゃん、昨日私柚木君の家に行ったんだけどね、後から北川君が来て、煎餅食べてたよ」

「へー」

「へーって、それだけ??」

「何が?友達の家に行って煎餅食べたって、至って普通のことじゃない?」

そーだけど!

「靴箱に入ってた煎餅」

柚木君がそう言うと、ナカちゃんから笑顔が消えた。

「旨いってさ。嬉しいってさー」

「へ………へぇー」

複雑な表情を見せたナカちゃんは、

「てか、靴箱に食べ物って衛生的にどうなのさ」

って、昨日北川君が言ってたのと同じことを口にして、トイレに行ってしまった。

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