ボクは桜、キミは唄う
北川君のばか!

せっかく平和に終わろうとしてたのに!

途端に鎮まっていたドキドキが振り返す。

「ほら、2人で仲良くさ……」

バシッ。

いつものようにふざけ半分な北川君に、柚木君なら笑いで返すかななんて、淡い期待もあったけど。

真顔でちょっと怒った柚木君は、北川君の言葉を遮るように肩を叩き

「余計な事するなよ」

1人で教室を出て行ってしまった。

シーン……。

一瞬、冷たい空気が流れた気がした。

本当に嫌われてるんだって、今ほど感じたのは初めて。

「くぉらっ!遥斗!お前そんな言い方ないだろ!」

教室のドアから顔だけ出して、北川君が叫ぶ。

けど、柚木君の返事は聞こえなかった。
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