ボクは桜、キミは唄う
いつもは近くまで迎えに来てくれる柚木君が、待ち合わせ場所にいないのはちょっぴり寂しい。

学校に着いて靴を履き替えていると、その向こうにマネージャーの姿を見つけてしまった。

あれ以来何度か顔を合わせる事はあったけど、いつも柚木君が隣にいてくれたから平気だったんだ。

でも今日は一人。

柚木君がいてくれないとやっぱり怖いかも。

気づかれないように顔を伏せて、ササッと階段へ逃げた。

──のに。

「一人?」

バレてしまったみたい。

「……はい」

私は警戒心むき出しで返事をした。

「ふーん」

まただ。

初めて会った時と同じように、私を下から上までじっくり見ては睨みをきかせる
マネージャー。

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