ボクは桜、キミは唄う
職員室に着くと、山崎先生の隣に柚木君がいて、何やら話し込んでいる様子だった。

「おぉ、工藤、遅かったな」

気づいた先生が手招きしてきた。

「失礼します」

小さく挨拶して、小走りで先生の元へ向かう。

トクントクン……胸の奥がまたうるさくなってきた。

「工藤、お前ピアノできるんだよな?」

「え……あ、まぁ」

「まぁって謙遜してんじゃねーよ。音楽祭で伴奏やったんだろ?」

「はい……」

「んじゃ、上等だ!」

年に1度、近くの3つの小学校で5・6年だけの合同音楽祭が開かれていた。

そこで私は2年連続、合唱の伴奏を任されたんだ。

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