ボクは桜、キミは唄う
「先生呼び捨てにするなー。ここ職員室だぞ。ほら先生方みんな見てるぞー」

山崎先生の隣に座る、三浦先生がチラッとこっちを見た。

三浦先生は音楽の先生で、全校朝会の時、校歌の伴奏をピアノで弾いているのを聴いた時から私の憧れなんだ。

流れるようになめらかで、優しかった。

後から年齢も聞いてビックリした。山崎先生と同じくらいかと思ったら、9つも歳上だなんて。

やり場のなくなった柚木君は、キョロキョロしてから口をとがらす。

「ぷっくく」

その姿が、ふてくされた子供みたいで、思わず私は吹き出してしまった。

「ほらぁ。工藤さんに笑われた。バカばっかやってると嫌われちゃうぞぉ?」

先生が小ばかにして言う。

「テメッ」

先生のお腹に目掛けた、グーにした柚木君の手は、あっさり先生の手の平で押し返されていた。
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