ボクは桜、キミは唄う
卒業式終了後、廊下で、泣きながらマネージャーが柚木君に抱きついている所を見つけた。

いつも綺麗に整えている髪を振り乱して、軽く化粧していたのか、目の回りが黒くなっていた。

常に完璧な美人を保っていた彼女が、それを全て捨ててしまえるほどに柚木君を好きだったんだなって思ったら、今までのマネージャーに対する気持ちがスーッと消えたんだ。

マネージャーも、ただ恋するひとりの女の子だったんだなって。
。

私と同じで、柚木君が好きで仕方なかっただけなんだなって。

そう思うと、マネージャーのした事を責める気持ちにはなれなかった。

結局その後、柚木君はマネージャーを振ったらしいって、風の噂で聞いた。

マネージャーも脩君もいなくなった学校で。

『平和になったんだから、またくっついちゃえば？』

なんて、ナカチャンが冗談半分で私に言った事がある。

それで私は

『じゃあまた好かれる方法教えて？』

って笑った。

冗談にして笑い飛ばさないと、どこかで期待してしまいそうな自分が怖かったから。
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