ボクは桜、キミは唄う
教室にいても、たまに隣のクラスから柚木君の笑い声が聞こえたりする。

そしたらナカちゃんが振り向いて

『柚木、声でかっ』

って笑うんだ。

だから北川君が先生に怒られて

『とぅいまて〜ん』

と言っているのが聞こえたら、私はナカちゃんの背中をツンツンして

『北川君ふざけすぎ』

って言ってやるの。

相変わらず意地っ張りなナカちゃんは未だに北川君を好きだって認めないけど。

こんなにわかりやすい『好き』信号出すのはナカちゃんくらいだよって、最近思う。

だって、北川君を見つけるのはいつだって誰よりも速いんだもん。

それで、柚木君を見つけるのは、私が誰よりも速い。

いつも一緒にいる北川君と柚木君だから、私達はいつも同じ方向を見ていた。

授業中だって、グラウンドでコケる北川君を見つけて私達は同時に吹き出すし。

休み時間、廊下で大笑いしすぎてアゴがかくかくなった柚木君を見て一緒に焦った。

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