ボクは桜、キミは唄う
「あいつ……」

隣で柚木君がボソッと言う。

そっと見上げると、また合ったはずの視線をそらされてしまった。

そうだ。

私、嫌われてるんだっ。

こうして隣を歩くのも、すごく嫌なんだろうな。

私、柚木君にそこまで嫌われるほど、何をしでかしてしまったんだろ?

思い当たらないけど、きっと気づかないうちにしてしまったんだろうな……。

職員室を出るとナカちゃんが廊下で待っていてくれた。

「あれ?運ぶプリントってそれだけ?」

ナカちゃんも突っ込む。

「だろ?あいつ絶対いつかぶん殴る」

「ぶぶっ。まぁ山崎なりの優しさなんじゃない?有り難く思いな」

「あ?どこが優しさだよ?」
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