ボクは桜、キミは唄う
「好きだけど、自分じゃナカちゃんに釣り合わないって思ってるだけかもしれないよ?」

「あんなにデリカシーのないヤツが、そんな細かいこと気にするわけないっつーの」

「そうかな?」

ナカちゃんなら、北川くんの普段見せない顔もわかるはずなのに。

「案外気ちっさいけどね、アイツ」

ほら。

「あーなんで私、今さらこんな話しちゃってるんだろうね?愛だの恋だの、私はもういいんだった!旅行のこの解放感が良くないんだわ。ヘヘッ」

ナカちゃんの笑顔が悲しく見えた。

「私、楓花が羨ましいよ。素直で、純粋で。私もそんな風に可愛くなれたらいいのに」

「何言ってるの?私なんてちんちくりんで、少しも可愛くなんかなくて、美人のナカちゃんをどれだけ羨んだ事かー」

「楓花は可愛いよ。最近髪も伸びて、大人っぽくなったって、男子の間で密かに人気急上昇中なんだから」

「まさか!」

「あ、知ってる知ってる。生徒会長の佐々木君も楓花ちゃん狙ってるらしいよね」

荷物整理を終えたアキちゃんがまた私達の話に入ってきた。

「さ、佐々木君?」

「そーそー。去年まで同じクラスで、めちゃくちゃアピールしてるのに、楓花全然気づかなくてうけた。」

「え?え?」

学級委員やってた、あの佐々木君が?

ザリガニ話してくれた、あの佐々木君??

「ちなみに、佐々木君も彼氏と同じ部屋なんだよ。柚木君も一緒の4人部屋で、ナオは柚木君狙いだから、ね、みんなで今回の旅行楽しも?」

柚木君の名前を聞いてズキンッと胸が声を上げた。

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