ボクは桜、キミは唄う
「あ、アキちゃん言っちゃった?もー恥ずかしい」

ナオちゃんが頬を赤らめる。

「柚木はダメだよ」

突然、ナカちゃんがほんわか空気をピシャッと叩くように言った。

「柚木は楓花と付き合ってたんだから」

「ナカちゃん」

そんな、わざわざ言わなくても。

「だから?」

な、ナオちゃん……?

「付き合ってた、でしょ?過去なら関係ないじゃん?」

「ま、まあ、とりあえずさ、みんなで楽しもうよ」

アキちゃんが見かねて間に入り、その場をおさめたけど、なんだか後味の悪い終わり方。

マネージャーがいなくたって、柚木君はやっぱり常に人気者で、私なんかが入り込む隙はないんだって思い知らされた。

でも、柚木君から卒業なんて……。

「負けちゃダメだよ」

ナカちゃんがこっそり私に言ってきた。

負けるも何も、もうフラれてる私には勝ち目なんてまるでないんだけどね。

そう言うとナカちゃんが目を吊り上げそうだったので、苦笑いするしかない私。


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